「口福の源~食料」ちょっと冒険しませんか?

トラクターも入ることができない、ルネ・ロスタンの急斜面の畑

 “南仏”とくくってワインを語るには、南フランスは広すぎる。ローヌは南北200キロあり、ブルゴーニュに近い。北から南まで品種もスタイルも異なり、地中海に近いリゾート地プロバンスはロゼが有名で、手ごろなワインがそろうラングドックもある。今回触れたいのはローヌ。この地もイタリア・ピエモンテ同様、ワインのプロが好む銘醸地でありながらも、知る人ぞ知る産地の一つだ。

 私が、ローヌに魅了されたきっかけはフランス留学だ。シンプルに、“ローヌワイン好きのフランス人”に多く出会ったからなのだが、彼らがローヌを選ぶ理由は、ボルドーやブルゴーニュという王道の偉大さを理解しながらも、そこにとどまらず、自分のセンスや知性を大事にしながら、値段はもちろん、価値あるもの、個性あるものを目利きするこだわりだと感じた。

 コート・ロティ、シャトーヌフ、ジゴンダスは、大手も存在するが中小規模の生産者も多く、個性豊かな銘醸地。コート・ロティのブドウ畑はすさまじい急斜面、すべって転げ落ちてしまいそうな崖にあるその場所でブドウが育ち、偉大なワインが誕生すること自体がとても神秘的だ。

 ルネ・ロスタンという大好きな造り手がいる。物静かで畑でほとんどの時間を過ごすザ・職人親子。手がけるワインはシラーという品種が持つ力強さの中に繊細な要素が詰まっている。ローヌでは、同じ畑作業でも他の産地に比べて何倍もの時間を要するが、ブドウがもつ生命の力をワインから感じる。

 シャトーヌフやジゴンダスにも魅力的な生産者が多い。グルナッシュという品種が個人的に大好きで、凝縮感がありながらも柔らかく、品のあるスパイスの香りに引かれてしまう。

 留学当時、レストランで外食するときも、ローヌやシャブリの存在は手に届く価格でありながらも、“食いしん坊欲”が満たされる大きな味方だった。熟成したワインの魅力、食事と一緒でこそ広がるワインの味わい、フランス美食の世界でもローヌワインはその価値を知る多くのソムリエとシェフによってとても重宝されている。

 私が買い付けを担当する生産地は、ボルドーとブルゴーニュが中心だが、日本で大切な取引先との会食があるとき、その方が根っからのワインラバーであるときにローヌの出番は多い。その真価を共有できるじんわりとした幸せ。隠れた絶景を一緒に見るような、ワクワク感だ。

 好きな産地を追求することは楽しい。銘醸地と呼ばれながらもあまり知られていない産地はまだまだある。「ちょっと冒険したいかも」という気持ちをお持ちであれば、ローヌの世界がオススメだ。(敬称略)

(エノテカ バイヤー 石田 敦子)

 

(KyodoWeekly7月12日号から転載)

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