「陸海空の現場~農林水産」「大豆肉」のトップランナーへ

写真はイメージ

 人口増加や経済発展によるたんぱく質の供給不足が世界的に懸念されている中で、代替肉への関心が高まっている。代替肉には、大豆やえんどう豆などの植物性の原料を本物の肉に似せて加工したものと、動物の可食部細胞を組織培養したものの2種類があり、家畜を殺すことなく「製造」できることが特徴だ。

 国内では、特に大豆肉市場が拡大しつつある。マルコメ、大塚食品などの民間企業の参入が相次いでおり、独自技術をもつDAIZなどのベンチャー企業も生まれている。畜産では、排せつ物やげっぷ由来のメタンや一酸化二窒素などの温室効果ガスの排出、鳥インフルエンザ・豚熱などの感染症のリスクなどの課題が挙げられているが、代替肉は環境負荷が小さく、よりサステイナブル(持続可能)な食品と考えられている。

 ただ、本当にサステイナブルな食品かどうかは、原料調達・加工などのサプライチェーン(部品の調達・供給網)全体をみて判断する必要がある。

 大豆肉の場合、大きな課題となるのが原料調達だ。日本の大豆の自給率は6%(2018年度)にすぎず、原料の多くを輸入に頼っている。こうした構造では、代替肉市場が拡大しても、原料の輸送にかかる環境負荷が高いままとなってしまう。

 また、世界の大豆の需要量は近年、増加傾向にある。天候不順や需要逼迫(ひっぱく)の影響などにより、調達価格の高騰が目立つ年も見られる。このままでは、大豆肉の需要が増加しても、原料大豆の調達が困難なために、せっかく開発した技術を生かしきれない事態に陥ってしまう可能性すらある。

 政府は2020年3月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」で、30年に大豆の自給率を10%まで高める目標を立てた。将来的な大豆肉の原料不足を防ぐため、今から、国産大豆の生産量を増やしていく道筋をたてなければならない。

 そのためには、栽培の生産性向上や、化学肥料・農薬の削減など、より環境負荷を抑えた栽培方法の開発などが不可欠である。また、製品の付加価値向上に向けて、大豆肉用の品種開発も有効である。国内では、長年にわたり、豆腐・納豆・みそなどの用途に応じた品種の開発が進められてきた。古くから大豆に親しんできた日本が、大豆肉のトップランナーとして新たな製品や技術を世界に発信するチャンスが到来している。

(日本総合研究所 創発戦略センターコンサルタント  前田 佳栄)

 

(KyodoWeekly7月12日号から転載)

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