「陸海空の現場~農林水産」朝ドラ祖父のモデル?

舞根湾から室根山を指差す畠山さん=2017年11月22日(筆者撮影)

 NHKの連続テレビ小説「おかえりモネ」から目が離せない。在宅勤務中の朝、たまたまスイッチを入れたテレビ画面に、見覚えのある牡蠣(カキ)養殖場や研究所が映し出されているではないか。

 ヒロインの永浦百音(愛称モネ、清原果耶)の祖父・龍己はカキの養殖業を営み、水産高校2年生の妹はカキの研究に没頭している。

 藤竜也演じる龍己のモデルは、カキ養殖家の畠山重篤さんだと確信した。「森は海の恋人」という名キャッチフレーズで森と海をつないできた人だ。4年前の記憶がよみがえった。

 秋にドイツで入手したばかりの少し珍しいフランケンワインを持参して宮城県気仙沼市の舞根湾を訪れると、畠山さんは自分で船を出して案内してくれた。東日本大震災でカキの養殖場は壊滅的な打撃を受けた。湾内から生物が消えてしまい「海は死んだ」とさえ言われたが、既に養殖場は見事に再生されていた。

 畠山さんは「上流の森から運ばれる栄養分でプランクトンが育ち豊かな海が再生された。大災害があっても(海と山の)恋人関係に変わりはない」と笑いながら、巨大なカキやホタテを引き揚げ、白ワインに合わせてくれた。

 帰途、畠山さんが湾内から指差した室根山に登った。山頂から唐桑(からくわ)半島や大島を一望すると、確かに森と海と里は大川を介して不可分一体につながっていた。

 地元紙・三陸新報によると、NPO法人「森は海の恋人」(気仙沼市)が、1989年から毎年開いている植樹祭は、今年も6月6日に関係者約30人だけの参加だったが、岩手県一関市室根町で開かれた。大川の上流に豊かな森をつくるのが狙いだ。同NPO理事長の畠山さんは、苗木に添えるプレートに「おかえり舞根」と書いたという。

 朝ドラは、ヒロインのモネが気象予報士を目指す方向へ展開している。

 「余計なお世話かもしれないが、進路としては、素晴らしい環境と人々に恵まれた地元の林業か水産業で活躍した方がいいよ」と、独り言をつぶやいたりしている。

(共同通信アグリラボ所長 石井 勇人)

 

 (KyodoWeekly7月5日号から転載)

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