「本の森」まちづくりチャレンジ550 地域再生大賞の10年

地域再生大賞実行委員会 編

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●一般社団法人共同通信社

 

「捨てたもんではないな」

 

 「こんな状況で、まちづくりができるのだろうか」

 新型コロナウイルス感染症が日本を覆い始めた昨年春、取材は始まった。対象は2010年度に46の地方紙と共同通信社が始めた「地域再生大賞」の受賞500団体。「地方の疲弊をはね返そうと、まちおこしを目指す活動を支援する」事業の10周年企画だ。

 在宅で電話をかけ始め、不安は裏切られた。多くの団体が「困っている人々のため、地域を持続させるため、いま何ができるか」を考え、実践していたのだ。

 動きがとれない状態だった子育て支援団体のネットワークには、販売先を失った青果卸業者から「子どもたちに」と食材提供の申し出があった。情報網を駆使し、収入を失ったシングルマザー家庭など危機的状態の人々をすぐにリストアップ。ボランティアが車や台車で野菜や果物を家庭に届けた。動きを知ってさらに寄付が集まる。住民と行政、企業が力を合わせ「誰も取り残さない」活動が広がった。

 ITを活用したプラットフォームを通じ、消費者が生産者を支援する動きも。ライバル関係の飲食店が団結、ドライブスルー方式で青空マーケットを開催する「テイクアウトマルシェ」は北陸から全国に広がった。

 「布マスク配り」「作動しないスマホアプリ」と国が迷走する一方、地域ではITを駆使する若者と、応援する地域のベテランが連携、新しい取り組みを始めていた。「捨てたもんではないな、日本は」という声が心に残る。

 書籍には第11回までを盛り込み、収録団体は550に。休止団体は21だけで多くの団体がたくましく活動していた。多くの人に知ってもらうため、今年4月にはオンラインで無料公開。本文を検索できるのも特徴だ。

 本を出してから、SDGs(持続可能な開発目標)関係者との協議が進んでいる。解析すると受賞団体のすべてがSDGsの17目標につながる活動を実践していた。

 一方、国連が提唱し、国や自治体、経済界が主導してきたSDGsは理念が先行し、「では誰が、何を」という具体策が課題だ。従って、理念と現場が結びつけば、これほど強いものはない。

 収録団体はNPO法人が3割、社団や会社などの法人が2割弱、任意組織が半数強だ。「働きがいも 経済成長も」「住み続けられるまちづくりを」…。さまざまな目標に向けて各地の団体は動き続ける。まちづくりのヒントとして、地域再生大賞のデータを役立ててもらえればと願っている。

(共同通信編集局企画委員 橋田 欣典)

(47NEWSサイトから無料でダウンロード可。書籍は非売品)

https://www.47news.jp/localnews/chiikisaisei/10th_book.html

 

(KyodoWeekly6月28日号から転載)

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