「口福の源~食料」「スーパーフード」効果で普及

苦みが少なく柔らかい品種のカーリーケールにキヌアをトッピングしたサラダ(筆者撮影)

 ある食べ物が普及したり流行したりするのに「体にいい」は大きな要因になる。たとえば赤ワインはアルコール飲料で、チョコレートは高カロリーなのにもかかわらず、ともに健康に役立つとされるポリフェノールを豊富に含んでいることがブームの重要な引き金になった。

 最近よく使われるようになった言葉に、「スーパーフード」がある。国の定めた規格のある特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品とは違い、国が有効性を確認したわけではなく、公式の定義や基準もない「いわゆる健康食品」である。だが、響きがよくて覚えやすく、なんとなく超自然的な力を感じさせる絶妙な呼び名だ。

 この名が生まれたアメリカでは「栄養価が高く、健康に有効な食品」という平凡な定義づけのようだが、日本では「ものすごく体にいい」イメージをまとってメディアをにぎわせた。話題を集めた理由のひとつは、有名女優やモデルなどハリウッド・セレブが愛用していることと、美容とダイエット、アンチエイジング効果がさかんに宣伝されたためだ。ファッション性のひときわ高い健康食品だといえる。

 スーパーフードと呼ばれ、急速に普及が進んでいる食材に、野菜のケールとビーツがある。

 ケールは、結球しないキャベツの一種。葉の緑色が非常に濃く、βカロテン、ビタミンC、カルシウム、カリウム、鉄、葉酸、食物繊維などの成分もキャベツとは比較にならないほど多い。日本では古くから青汁の材料として知られていたが、2015年前後からアメリカで大ブームが起こった影響で人気が急上昇し、スーパーでもよく見られるようになった。苦くて硬いのでそのまま食べるのには不向きだったが、サラダ用の柔らかい品種の国内栽培が伸びている。

 ビーツは形からカブの仲間のように思えるが、ホウレンソウと同じアカザ科の植物。深紅の色が特徴で、スーパーフードではビタミンとミネラル類豊富な「食べる輸血」と呼ばれる。どす黒いほどの赤だが、煮込みやサラダに入れるとほかの材料に色が移り、全体が鮮やかなピンク色に染まって美しい。代表的な料理が、ロシアやウクライナのボルシチだ。

 以前、日本では生のビーツが手に入りづらく、ロシア料理店でも缶詰を使ったり、トマトの赤で代用したりしていたが、最近は国内栽培が増え、手頃な値段で買えるようになった。丸ごとゆでて冷蔵しておけばいろいろな料理に使え、甘みと独特の風味が魅力的な野菜である。

 じわじわと普及し、日本食品標準成分表2020年版(八訂)に新しく収載されたのが、「スーパー穀物」と呼ばれるキヌアである。南米アンデス地方原産で、直径2ミリ程度の小さな粒に、きわめて高い栄養成分がバランスよく含まれている。1993年、アメリカ航空宇宙局が理想的な宇宙食として選定したことで一躍有名になり、国連が2013年を「国際キヌア年」に定めたことで世界的なブームが広がった。白米に混ぜて炊いたり、さっとゆでてサラダやスープのトッピングにしたりすると、プチプチ感がアクセントになる。

 健康第一の食生活は味気ないが、こうして健康情報のおかげで食べ物の種類が増えていくのは、とてもありがたい。

(食文化研究家 畑中 三応子)

 

(KyodoWeekly3月8日号から転載)

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