コロナ禍の若者恋愛事情 密避ける〝出会い〟が全盛

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 新型コロナウイルスの感染拡大は、飲み会・合コンなどの自粛要請のため、若者たちが直接的に出会う場を多く奪っている。今どきの若者らの恋愛事情について、ライターの福江若菜さんが自身の経験を交え、まとめた。また、少子化問題の専門家・ニッセイ基礎研究所の天野馨南子さんにコメントを寄せてもらった。(編集部)

 

独りで誕生日

 

 コロナ禍で、「人との偶然の出会い」がなくなってしまった方も多いのではないだろうか。特に恋人募集中、あるいは婚活中の人たちにとっては大きな障壁の一つとして立ちはだかる。 幸せな結婚に憧れながらも寂しく、独りで33歳の誕生日を先日、迎えた筆者もその1人である。

 他者との密を避けることが当たり前になりつつあるコロナ禍において、どのように運命的な出会いを果たしているのだろうか。

 今回は、密を避ける新しい生活様式下での恋愛事情において、さらに需要が高まっている「マッチングアプリ」に焦点を当てて紹介をしていきたい。

 リモート環境下における出会いを求める手段の一つとして、ユーザー数が拡大しているのが「マッチングアプリ」だ。

 マッチングエージェントとデジタルインファクトの共同調査によると、今後「国内オンライン恋活・婚活マッチングサービス市場」は2023年には800億円を超え、今後ますます伸びていくと予想されている。まさに「はやっている」といっても過言ではないサービスである。

 そもそも「結婚相談所」や「友人の紹介」、果てには「合コン」といった「オフライン」から始まる出会いではない、「インターネットを通じた異性との出会い」というものは、1990年代のころから存在していた。

 ガラケー全盛期、俗に言う「出会い系サイト」の時代からあったが、現代の「オンライン結婚相談所」と「マッチングアプリ」は全く違うジャンルのサービスになり、後述する仕組みも異なる。

 なお、マッチングアプリの料金は、女性は無料で男性は4000円前後の課金が必要となるアプリが多い。

 一般的に「街コン」でも男性側が高いのはスタンダードなので、特別な料金体系ではないだろう。「付き合うのは女性側に、結婚は男性側に選択権がある」という揶揄(やゆ)が、皮肉にも見事に体現されている形だ。

 基本的にマッチングアプリでの出会いは共通して以下のような流れとなっている。

 ①まずはプロフィルと顔写真などの自分の基本情報をシステムに登録

 ②検索やおすすめ機能で表示される相手に対して、気に入った旨の意思表示「いいね!」といったリアクションを送る

 ③お互いに「いいね!」を送り合うと、メッセージのやりとりができるようになる

 ④メッセージをやりとりし、気が合えば晴れてデートに行く

 この4段階の間に年齢確認などのステップが加わる。

 このように、デート前にはマッチング後のメッセージやりとりが第一関門として立ちはだかる。

 そこでは「どのあたりにお住まいですか?」「お仕事は何をされているのですか?」「普段、週末は何をして過ごしていますか?」などのたわいのない会話から始まり、会話が続いたころに「では、よかったら今度ご飯に行きませんか?」と実際に会う流れに行き着くのだ。

 また、知り合いにバレないか不安に思う方もいるかもしれないが、自分の基本情報を入力し、SNSなどの連絡先データを提供することによって「自分もしくは向こうが連絡先を知っている相手」には自分のアカウントを表示しないような配慮がされている。

 

長所は気軽さ

 

 加えて、出会い系アプリのように遊び目的やサクラが比較的多く、危険なアプリという印象があるかもしれないが、マッチングアプリは、利用者の本人確認書類の提出が必要で、会社によっては24時間体制でのサポートがあるなど、安全・安心に利用できるサービスが根底にあるため、怪しいアプリは淘汰(とうた)されてきたと感じる。

 気軽に始めようと思ったら、いきなり「免許証などの本人確認ができる書類を送ってください」と言われて驚く人も多いようだ。

 気になる人とマッチングし、メッセージでデートの約束までこぎつけ、やっとのことで実際に会うわけなのだが、会ってみても交際に至らない場合がほとんどだ。

 せっかくマッチングしてもメッセージのやりとりにつながるのは半分にも満たないし、メッセージをやりとりしたところで愛想笑いがこぼれるような無難な会話だけで終了することも多い。

 〝モテ期〟の記憶がない筆者でさえ「いいね!」の8割くらいはスルーしている。これが見た目がきれいな人にもなると…、困難を極めるのではないかと想像する。

 さて、話を戻すが、マッチングアプリの一番の長所は「気軽に出会いがあること」である。お見合いや結婚相談所とは違い、お互いが気軽に「いいね!」を送り合うことはもちろん、デートも複数人と同時並行で進めるのが基本だ。

 人にもよるが、筆者の知り合いの中でほぼ毎日違う人と会い、気の合う人と出会うまで何十人もデートをした、という猛者もいた。

 ちなみに未経験者の方にとってはアプリで出会うなんて…と思う人もいるかもしれない。

 しかし、マッチングアプリで出会い、結婚に至った人も少なくない。

 ちなみに、恋活・婚活マッチングアプリを通じて交際・結婚するカップルは、2016年は40人に1人だったのに対し、2020年は20人に1人というデータ(マッチンググループ自社調査)がある。また、全国のPairs(ペアーズ)婚の割合は推計で、4%(2020年9月時点)というデータもあり、マッチングアプリを通して交際・結婚される方はかなり増えている。

 昔は「共通の趣味で」や「運命的な出会いで」といって濁されるようなきっかけも、現代では十分に市民権を得ているといってよいだろう。

 先日も、結婚式で「マッチングアプリで出会いました」と臆することなく宣言する友人夫婦に驚くとともに、時代の流れを痛感した。

 現代の恋愛ではITのチカラを借りて出会う人が増えているのは事実であり、気軽な出会いが売りのアプリといえど決して侮ってはいけない。

 

ビデオでデート

 

 他の文化にたがわず、マッチングアプリもコロナ禍で変化を迎えている。

 何人にも会っていると必然的に感染リスクが高まるし、居酒屋やレストランに足を運ぶのに気が乗らない方も多い。

 そこで最近のマッチングアプリに登場した新機能が「ビデオデート」である。

 マッチングした相手と、日時を決めてビデオ通話を介したデートをするのだ。筆者も体験したが、普通のビデオ通話と変わらないところはありつつも、いくつかマッチングアプリならではの工夫がされている。

 例えば、とあるアプリではオンラインデート中に話に困った時のために「10個の質問」が用意されている。「行きたいデートスポットは?」「好きな休日の過ごし方は?」といった質問はお互いの価値観を擦り合わせるきっかけになったと思うし、家族関係や仕事観といったちょっと聞きづらい踏み込んだ質問も、自然に聞き出せることが可能だ。

 ただ、バーチャルな世界でリアルに触れ合えないデートは、その人のことを理解するのに時間がかかるし、俗に言う「雰囲気」をくみ取るのが非常に難しい。また筆者が恋愛に必要なエッセンスと考えている「ハプニング」が起こりづらい。

 そのため、相手の価値観や本質を知るにはこれまでよりも「根気」と「熱意」が必要にはなるが、密のリスクを避けながらも理想の相手を効率的に見つけるツールとしては、マッチングアプリは今後も期待できるだろう。

 ちなみに、筆者は何度か主要なマッチングアプリを試してみたが、どうやらあまり向いていないということも分かった。

 まず、会ったこともない人とメッセージのやりとりをすることに対して面倒になってしまう。一度対面で会えば相手の人となりが分かるのだが、どんな人か分からない相手に対して、会話を続けるモチベーションがどうにも維持できない。メールよりも電話が得意な筆者のようなタイプには、メッセージを送り合うという行為がつらくなってくるのだ。

 また、複数人とマッチングしても、最初のメッセージは似たようなメッセージばかりになるので、頭が混乱してしまいやすい。誰にどんなメッセージを送ったのか、すぐ忘れてしまう。

 総じて、個人的にマッチングアプリに向いているのは八方美人タイプで、特に電話よりもメールが得意な人にはおすすめだ。とにかくメッセージのやりとりがうまくいかないと肝心なデートまで進展しない。

 なお、気持ちの切り替えがうまい方も相性がいいと思う。途中でメッセージが突然終了したり、デートが盛り上がったのに音信不通になるケースも少なくない。気軽にできるサービスなので、いちいち一つ一つを気にしているととても心が持たないのだ。

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AI婚活

 

 コロナ禍の影響とは別に、マッチングアプリもサービスとしての進化を続けている。

 マッチングアプリが乱立しているが故に、大企業のように資金力や実績がない場合は独自性のアピールが重要になるのだ。

 最も分かりやすいのは、ユーザーの属性を分けることだろう。「20代限定」「ハイクラスの男性がそろう」「人付き合いが苦手な人向け」といった特徴をつけることで、それを目的としたユーザーを囲い込むことができるし、マッチングの精度も高まる。

 中にはより手軽さを目指して、マッチングをしたらメッセージを介せず、すぐにレストランで会うアプリや、電話をしてお互い気になったらメッセージのやりとりが始まるようなアプリも出ている。まさに相手とマッチングする前に「自分に合ったアプリ」をマッチングする必要があるのだ。

 その中でも特に注目しているサービスの一つが「AI婚活」である。もはや好意表現の「いいね!」すら必要がなく、高精度かつ完全自動でマッチングをしてくれるのだ。

 恋愛には受け身であり、男を見る目がないといわれる経験を持つ筆者としてはぜひ体験したいと考えている。

 ×   ×

 筆者は前述のとおりマッチングアプリの猛者、とまではいかないがそれなりにマッチングアプリを経験している。ダウンロードした数は片手を超えているし、デートの回数も両手では足りない。

 そんな自分から、マッチングアプリの「出会い」以外で思いがけず得られたオススメポイントを紹介したい。

 まずは自分の新たな価値観や趣味の発見にもつながることだ。「Pairs」では「コミュニティ」が10万件以上存在し、自分がどのような人間なのかを言語化できる。

 加えて、相手に求める理想像が可視化される。直感でなんとなく好みの男性に「いいね!」をしていくのだが、あとで見直すと見事に同じタイプの男性に「いいね!」していることに気がついた。友人や同僚から「どんな人が好みですか?」と聞かれてもスムーズに答えられるようになった。なお役に立ったことはまだない。

 次に、男性を見る目が鍛えられる。どのようなメッセージを送る男性に誠実なタイプが多いとか、どんな雰囲気の写真をアップしているような人がいいとか、真剣交際を求めていない人のプロフィルはどのような傾向があるのか、ということまで経験が蓄積される。また「出会い」が気軽なので変な異性に対して執着して時間を無駄にすることもなくなるし、客観的に見直すこともできる。

 最後に自分への〝需要〟というか、評価度がわかる。

 「いいね!」してくれる異性が増えると、明確な傾向が見えてくるのだ。ちなみに筆者は年上である40代と、年下である20代からの「いいね!」が多く、自分が希望している30代からはあまりウケがよくないという悲しい現実に直面する結果となってしまった。

 それでも他人から「いいね!」されるのはうれしいし、たとえ多少盛った写真であっても、自分に人気があるということを確認できるのは、自己承認欲求を満たす、貴重な機会となった。 マッチングアプリで運命的な出会いはなかったものの、自己分析を経てからアプリを退会するのも悪くはないだろう。

【筆者】

恋愛ライター

福江 若菜(ふくえ・わかな)

  ×  ×  ×

税込み880円

【専門家の目】=ニッセイ基礎研究所 生活研究部 人口動態シニアリサーチャー

 天野 馨南子さんの話

 

IT活用でより出会いやすく コロナ禍が追い風に

 

 新型コロナウイルス禍は、この社会のさまざまなところに影響を及ぼしている。政府は感染対策として、人と人が接触することをできる限り避け、外出や会食の自粛を呼び掛けている。

 若者たちが出会う場としてのコンパやイベントが次々と中止されている中、携帯電話のマッチングアプリなどITを活用した出会いの場は大切な存在になっている。

 ITの活用によって、顔写真、プロフィル、動画などを見ながら、次から次へと相手を知ることができる。このような気軽さこそが、出会うことへの意識のハードルを下げることにつながる。ITの活用は、出会うまでの時間生産性を向上させると言っていいだろう。

 特にこのコロナ禍では、ITに強い若者たちの出会いに、ITの存在が追い風となるだろう。

 実際、私の周囲でもマッチングアプリで知り合い、結婚に至ったケースはいくつもある。広大な国土の米国では、結婚したカップルの約4割がITを活用して成婚に至った、というデータもある。

 アプリを活用する際は、自分のプロフィルなど個人情報を入力しなければいけない。ゆえに以前は、〝危ない〟というイメージが強かったが、現在はサービスを提供する各会社が、人工知能(AI)を使って、マルチ商法、宗教への勧誘など、24時間365日パトロールしており、比較的安全な空間だ。

 

「思い込みのわな」

 

 登録に当たっては基本的に男性は有料、女性は無料で、男性はお金を出して出会いの場を購入していることになる。これは、女性も有料にすべきだと考える。無料なのでだらだらと登録する人も多く、有料化することで男女双方の意欲が均衡になるからだ。

 著書でも指摘しているが、50歳で一度も結婚経験がない人の割合を示す「生涯未婚率」は、2015年国勢調査では、日本人男性の4人に1人、女性の7人に1人となっている。結婚意志は男女とも高く、日本社会は「結婚したいのにできない」人が増えつつある。

 なぜ、そうなのか。背景には結婚に対するさまざまな「思い込みのわな」がある。マッチングアプリ、AIを活用した地方自治体の結婚相談所などを活用しながら、この「わな」から抜け出すことが、パートナーと出会える近道だと言えるだろう。 

【筆者略歴】

 天野 馨南子(あまの・かなこ)さん

 東大経済学部卒業後、1995年、日本生命保険に入社、99年から同社シンクタンクに出向。専門分野は少子化対策・少子化に関する社会の諸問題。著書に「データで読み解く『生涯独身』社会」(宝島社新書)

 

(KyodoWeekly3月8日号から転載)

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