「口福の源~食料」神の島の美味なる小魚

炭火で焼かれる沖島ホンモロコ

 滋賀県にあるわが国最大の面積と貯水量を誇る湖、琵琶湖。ここにある有人離島が約1・5キロの沖合に浮かぶ島、沖島である。

 面積約1・5平方キロメートルの島の南西部にある集落に約250人の住民が居住している、日本で唯一湖にある人が暮らす島である。主な産業は漁業であり、琵琶湖全体の漁獲水揚げ量の半分を担っている。

 島内には自動車も信号機もなく、三輪自転車が主な移動手段であるが、一方で、自家用車代わりに1軒当たり1隻以上の船が所有されている。住民は、自分の船か、対岸の堀切港と結ぶ1日12便、所要10分の通船「おきしま」で、通勤、通学、通院、買い物などに行き来している。

 和銅5年(712年)というと、古事記が編さんされた年であるが、この年、近江の国守であった藤原不比等によって奥津嶋神社が建立されて以来、沖島は琵琶湖の湖上交通の安全を祈る神の島であった。

 本格的に人が住むようになったのは、保元・平治の乱の後、源氏の武士7人が落ちのび、山裾を切り開いて漁業を生業(なりわい)として住みついたのが始まりといわれている。

 島には、この時の落武者の1人、茶谷重右衛門の末裔(まつえい)が蓮如上人に帰依して建てた西福寺という寺も存在している。

 1875年、この西福寺の本堂に学校が開設されたが、この学校が近江八幡市立沖島小学校となって現在に至っている。沖島小学校の児童数はピーク時129人だったということであるが、現在は14人の児童が通っている。小規模特認校に指定されており、近江八幡市内の島外からの生徒も受け入れている。

 島外からの通学生は朝1番の通船で登校し、夕方4時に沖島漁港を出る通船で下校している。筆者が沖島にうかがった際には、島外の生徒が下校した帰り船を利用させていただいた。

 さて、沖島の味についてご紹介しよう。

 普通に紹介するとすれば、独特のにおいに好き嫌いが分かれるが、凝縮したうまみがやみつきになるという「ふなずし」であろう。琵琶湖の固有種であるニゴロブナを使った滋賀県の伝統食である。沖島では代々伝えられてきた家庭の味であり。子どもたちは漁師から直接、作り方を伝授されている。

 ただ、今回は、筆者が沖島にうかがった際にいただいた味をご紹介したい。

 それはホンモロコという淡水魚である。元々はニゴロブナなどとともに琵琶湖の固有種とされているが、近年では、琵琶湖での漁獲量減少もあって、山中湖、諏訪湖、奥多摩湖などにも移植されている。

 日本産コイ科の魚類の中でも特に美味であるといわれており、琵琶湖産のホンモロコは京都市内の料亭などに高値で取引されている。旬は冬から春にかけてであり、白身でクセがなくうま味や独特の風味があり、骨が柔らかいので丸ごと食べられる小魚である。

 シンプルにその味を堪能するには塩焼きが一番であるが、揚げても固くならないので天ぷらや丸揚げにも向いている。酒のさかなとしては絶好の逸品であるといえる。

(日本離島センター 専務理事 小島 愛之助) 

 

(KyodoWeekly2月22日号から転載)

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