「落語の森」食べ物あれこれ(ハ行)

 「日和(ひより)違い」という噺(はなし)のサゲ近くに鰤(ぶり)が出てくる。「きょうは、降る天気じゃァない」と「きょうは降る、天気じゃァない」の違いだけでもたせる、というたわいない噺。このバカバカしい噺をその昔、先代(四代目)三遊亭円遊師がフワフワと楽しげに演じた。立川談志師や桂枝雀師が演(や)り、今は三遊亭円楽師や瀧川鯉昇師などが演る。

 茶を「酒だと思って」と大家に飲まされるのが「長屋の花見」。昭和30年代後半「空前の演芸ブーム」のころ、先代(五代目)三遊亭圓楽師がテレビでこの噺を5分で演った。談志師は「品川心中」を7分で演ったのを見たことがある! もっとも師はマクラだけを演り「『品川心中』の序でございます」と舌をペロっと出した。落語を知らない若いテレビマンへの腹いせだった。

 「長屋の花見」に限らず、落語の大家さんて不思議なことに店賃(たなちん)を無理に取らない! 集めた地代・店賃は地主に納め、大家には地主からの給金の他に農家からの下肥代が収入と認められていて、これがバカにならなかったという。この辺りが仲人をしてやったり、夫婦げんかの仲裁をしてやったりと住人に親身になれた理由か。

 茶葉を焙(ほう)じるために「炉(いろ)を取ってくれ! 焙炉! 焙炉!」と言われ「ワンワン」と吠えてしまうのが「元犬(もといぬ)」。林家こん平師が若かりし頃に「よく働く前座だ」と古今亭志ん生師にほうびに教えてもらったのが、この噺。「もとは、居ぬか(犬か)?」「今朝ほど人間になりました」のサゲ、昔からどうにかならないものかと思って今日に至っているが、皆さんこれで演っている。文語ならまだしも、口語で「居ぬか?」って不自然過ぎる。

 「どうにかならない?」と言ったら、落語芸術協会のある師匠は「腑(ふ)に落ちるものができなければ、変えないほうがいいと考えています。変えるために変えるってのはいかがなものか、演る側がもっと古典落語を信用した方がいいと思います。」と言っていたが。

 「や(酒)でも良かった!」とサゲるのは「夢の酒」、大旦那・若旦那・その嫁・夢の中の女と登場人物全員がかわいい! 先代(八代目)桂文楽師が存命中は、師しか演らなかったが、今はそのお弟子さんの柳家小満ん師をはじめ、入船亭扇遊・扇辰・柳亭市馬・林家正蔵の各師がそれぞれ聴かせてくれる。何とも品の良い粋な噺、好きな噺だ。

 「膳」は落語らしい落語、「日本料理の正式な膳立て」に招かれた長屋の皆さんのドタバタ。先代(五代目)柳家小さん師ややはり先代(初代)金原亭馬の助師が演っていたが今演り手がいるのか。茶席での失敗噺は「荒茶(の湯)」、加藤清正や福島正則が登場する。こちらは春風亭勢朝師、林家三平師、春風亭柳朝師が演っている。

 今年もお世話になりました。みなさん、良いお年を!

紫紺亭 圓夢(しこんてい・えんむ)

 

(KyodoWeekly12月21日号から転載)

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