「言の葉の森」「目途」どう読みますか?

 「目途」は「めど」と読みますか? 「もくと」と読みますか? こんなアンケートを、毎日新聞校閲センターのウェブサイト「毎日ことば」で実施したのは昨年5月。その結果と解説をまとめたページへのアクセスが今春、急増しました。

 恐らく、新型コロナウイルスに関する記者会見で安倍晋三前首相が「5月14日をモクトに、専門家にその時点での状況を評価いただきたい」といった具合に「モクト」と何度か発言したことが理由でしょう。耳慣れない言葉を聞き「もくと? 『めど』じゃないの? 安倍さん、また漢字読み間違えたのかも」なんて思って検索し、校閲のページにたどり着いた人が多かったのでは、と推測します。

 ただ、辞書には「めど」「もくと」いずれも載っています。むしろ新聞は「めど」は平仮名で書き、漢字で「目途」とあれば「もくと」と読まれることを想定しています。なぜなら「めど」を「目途」と書くのは当て字だから。

 「目」は「め」、「途」は「と」だから、後ろを濁らせて読めば「めど」じゃないか、と思うかもしれません。

 しかし、文化庁の「言葉に関する問答集」によると、「め」の訓読み+「と」の音読み、という湯桶(ゆとう)読みの言葉で後ろを濁らせるのはなじまず、「常用漢字表の音訓欄に掲げてある音訓による使い方からは外れている」とのことでした。

 辞書では「目処」の表記が優勢ですが、常用漢字表内の読み方ではないため、こちらも新聞では原則使いません。

 それでもアンケートでは「目途」を「めど」と読む人が75%と圧倒的で、「もくと」派は12%(残りは「どちらでもよい」)。「もくと」のつもりの新聞の「目途」は、実際には「めど」と読まれることが多そうです。

 あまり浸透していない「もくと」を使いがちな政治家の皆さんは、国民に理解されにくい言葉だ、ということを意識した方がよいかもしれません。

 ところで最近、毎日新聞で「施行規則」に「せこうきそく」と読み仮名がついた記事が載りました。

 これに対し「しこうきそく」じゃないの?との指摘を複数頂きました。「せこう」の読みも辞書にあり、「『執行』と区別するために官庁などでは『せこう』ということが多い」(明鏡国語辞典)。

 というわけで誤りではないのですが、これも役所で使われ一般にはなじみの薄い読み方。読者に違和感を持たせてしまいました。校閲としては「しこう」の方が一般的では?と提案すべきでした。

 政治家もメディアも、伝わりやすい読み方を考える努力を怠ってはいけないようです。

(毎日新聞社 校閲センター 林 弦)

 

(KyodoWeekly10月5日号から転載)

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