「風のたより~地域経済」188(いやや)

 3ケタの電話番号といえば、警察110番や救急119番が代表格だが、188番をご存じだろうか。消費生活相談につながるホットラインの番号である。

 購入した商品が届かない。インターネットでたまたまあるサイトを開いただけで高額な請求が届いた。訪問販売でいったんは契約したが、気が変わったので解約したい。

 こういった消費に関する公的な相談窓口につながるのが消費者ホットライン188(通称:いやや)である。

 かつて消費者相談といえば、購入した商品の欠陥や事故、誇大広告や健康食品、化粧品などのマルチ商法などに関するものであった。

 しかしながら、インターネットを通じたオンライン取引の増加、単身高齢世帯の増大など、社会経済構造の変化に伴い、消費者を取り巻く課題は多様化、複雑化している。

 各地の消費生活相談では、電話以外に実際の窓口対応も行っているが、近年、その相談件数は、年間90万件以上に及んでいる。相談内容は多岐にわたり、スマートフォンの料金契約、金融投資商品、賃貸住宅の敷金返還、架空請求、訪問販売サイドビジネス商法、サプリメントによる健康被害などさまざまだ。

 中でも中高年からのインターネットによる商品購入トラブル相談、高齢者からの、訪問や電話による屋根工事や電気などの契約に関する相談、20歳代からのサイドビジネス商法に関する相談などが比較的多いという。

 最近ではコロナ禍で、新たな相談も増えた。たとえばマスク。入手できない。注文したのに届かない。注文していないマスクが勝手に届いた。この他には、結婚式場や旅行の予約キャンセル時の費用負担についての相談も多かったそうだ。

 消費者が商品や取引相手に対する情報をしっかり把握した上で、納得のいく契約、取引を行うことと併せて、事業者には適切な契約、取引を促す環境が必要であり、消費生活相談窓口はその機能の一端を担っている。

 一方、身近な地域でこうしたリスクに備える取り組みも生まれている。町内会・自治会、地域包括支援センター、まちの電気屋さんなど、担い手はさまざまだ。振り込め詐欺や訪問販売についての情報提供とともに、高齢者らが不当な契約を行うことのないよう、地域で見守り、声掛けを実施している。

 2022年には成年法の改正により、18歳以上は自己責任で契約が行えることとなる。これを踏まえて、学校で契約や取引について学ぶ機会も出てきた。インターネットやクレジットカードなどの利便性を享受しながら安心して暮らすには、金銭管理、契約の「いろは」について、考える機会を持つことも必要だ。

 一人一人の備えとともに、もし困ったときには、それをつぶやくことのできる場と関係が身近にあることはとても大切だ。見えない相手からの商品購入や契約が増えた今だからこそ、身近な相談環境と、188など専門家へつなげる仕組みとの連携が求められている。

(東洋大学教授 沼尾 波子)

 

(KyodoWeekly9月14日号から転載)

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