「落語の森」食べ物あれこれ(タ行)

 「腐くらい良いものは、ない。値が安く、とにかく食べやすい! 骨もなければ皮もない!」と世に出る前の荻生徂徠(おぎゅうそらい)が絶賛しながら、お代を払わなかったのが「徂徠豆腐」。確かに四季を問わずおいしく、酒に良くって飯にいいのが豆腐。

 「出世払いでいいやな」と言ってくれた豆腐屋・七兵衛さんとのご縁が始まる。珍しく赤穂浪士の討ち入りが出てくる。それもそのはず、元は講談から転じた釈ダネ。立川志の輔・入船亭扇辰・三遊亭兼好各師がおいしそうに豆腐をかきこむ。筆者もコロナ騒ぎがなければ、この夏この噺(はなし)を演(や)っていた。

 今年は、この騒ぎで花見もままならなかった。一人、宰相夫人だけは芸能人と桜を楽しんだ。明るく楽しく貧乏をバカバカしく生きる人たちを描いたのが、おなじみ「長屋の花見」。焼きに見立てたくあん、蒲鉾(かまぼこ)に見立てた根、お酒ならぬおけで花見。元々は、上方の「貧乏花見」。「長屋の花見」は店子(たなこ)が大家に誘われて出かけるが、「貧乏花見」では店子が自ら自分たちで「ほな、行こか」となる、これが東西の噺の最大の違いとかつて永六輔氏が指摘したことがある。

 「鰍沢(かじかざわ)」では、元花魁(おいらん)お熊が昔お客だった身延山に参詣途中の新助に、しびれ薬入り子(まご)酒を飲ませ、懐中の金を奪おうとする。三遊亭圓生師以上の名演を知らない。

 子(んご)の登場は、維新のころまで麻布飯倉片町に実在した「おかめ団子」。筆者は四半世紀ほど前の東京支社勤務のころ、麻布にいたことがある。店の痕跡を探してみてもよかったな、と今になって思う。古今亭志ん朝師がいい! 林家たい平師も演じる。

 おは、「茶の湯」がポピュラーか。笑いだくさんの噺で演じ手は多いが、やはり柳家小三治師。「法事の茶」は声帯模写自慢の演者、三遊亭圓窓・三遊亭円楽・古今亭菊之丞各師で楽しめる。廓噺(くるわばなし)「お茶汲(く)み」もシャレたサゲがニヤリとさせてくれる。先代(五代目)三遊亭圓楽師がよく演っていた。

 ころてんが出てくるのは、音曲噺「豊竹屋(とよたけや)」。にぎやかに林家正雀師・古今亭志ん輔師が寄席で聴かせてくれる。

 三遊亭白鳥師の自作「ナースコール」は、患者にもらった福が騒動を引き起こす。主役が女性看護師なので柳亭こみち師・三遊亭粋歌さん・立川こはるさんの女流噺家さんも演る。

 白鳥師の師匠・三遊亭円丈師にマッターホルンでうどんを作る「遥かなるぬきうどん」があって、円丈チルドレンでアウトドア派の林家彦いち師が演る。

紫紺亭 圓夢(しこんてい・えんむ)

 

(KyodoWeekly8月24日号から転載)

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