「風のたより~地域経済」コロナがもたらす明るい兆し

 夏の繁忙期だというのに、筆者が校長を務める大杉谷自然学校(三重県大台町)では宿泊を伴うキャンプをすべて中止にした。新型コロナウイルス感染防止のためだ。現在、実施する一般向け体験は、日帰りの家族向け川遊びだけである。全日満員だったが、ここ2週間でコロナ由来のキャンセルが相次いだ。

 一方、政府の「Go To トラベル」は継続され、世間には強い自粛ムードは見当たらない。今春の自粛生活が経済に与えた影響が甚大だったということだろうか。人の往来を止めていないから、コロナ禍でも生き残る商売の方法を試行錯誤しろと言われているようなものだ。

 今年は収入が激減した3月以降、コロナ救援策を多用した。持続化給付金や三重県の休業協力金をはじめ、人件費には雇用調整助成金や、休校等対応助成金。事業関係では、NPOが事業主体となれる環境省の定額の補助事業を獲得。三重県からも補助事業が連発である。資金繰りでは、銀行から実質無利子のコロナ対策融資を受けられた。

 だが、このようなコロナ支援策が今後もずっと続くとは思えない。今のうちになんとか知恵を絞り、生き残る道を模索しないと立ちいかなくなるだろう。

 しかし、ここにきて意外にもコロナがもたらしてくれたチャンスが到来している。

 7月から急に、県内小学校の修学旅行先の受け入れ可能性の問い合わせが3校もあった。これまで候補にさえ一度も挙がったことがなかったのに、奇跡といえる。ほかにも、社会見学などの教育旅行の問い合わせが相次いだ。コロナの影響で県境を越えることを避け、三重県内に行き先変更を決めたことにより、旅行会社や学校が県内の自然体験に目を向け始めたのだ。地域の教育力をアピールする絶好の機会である。

 

地域の価値見直す

 

 4月以降は移住の問い合わせも急増した。都会からのコロナ避難の希望者や、リモートワークで地域居住が可能になった人、移住という長年の憧れをついに決断した人など、どれもコロナが後押しした移住である。

 さらに今年の「夏の体験」イベントは早々に満員となったのだが、これは自粛生活の反動で自然への渇望が募った結果だと思っている。

 単純に自然ってやっぱりいいなという意識が広がった。こんな風に地域にはコロナ禍がもたらした明るい兆しが見え始めた。コロナ前には当たり前すぎて気づかなかった、地域の価値を見直してもらえるチャンスが到来しているのだ。

 とはいうものの、とりあえず「今」を乗り越えなければ、未来はやってこない。先月から(公社)日本環境教育フォーラムの呼びかけで、全国の自然学校が賛同したクラウドファンディング「自然学校エイド基金」が開始された。既に第1目標の500万円を達成し、第2目標の1千万円を目指している。自然学校を応援してくださる人が大勢いることに感謝するとともに、勇気づけられている。

 コロナ後の世界に明るい兆しを感じているからこそ、地域密着型で経営している自然学校では、コロナ後にやりたい仕事が生まれている。コロナ禍の今を力を合わせて乗り切り、地域の未来を切り開くのだ。

自然学校エイド基金:https://a-port.asahi.com/projects/nature-school-aid/

(NPO法人大杉谷自然学校 校長 大西 かおり)

 

(KyodoWeekly8月24日号から転載)

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