「風のたより~地域経済」高齢者のパラダイス

高松丸亀町商店街の様子=2018年7月(筆者撮影)

 コロナ禍をきっかけに、東京一極集中を是正すべきだという意見が多く聞かれる。確かに、人口集中は、メリットばかりではなく、リスクも浮き彫りにした。さらに、世の中はデジタルシフト真っ盛りだ。歴史的には、東京の重要性は低下する流れだろう。

 それでは、地方は何もしなくてもいいのか。それは違う。それぞれ自分たちの地域の人々を集め、生き残れるように汗をかく必要がある。シャッター街には誰も魅力を感じないだろう。

 その点、私があらためて注目しているのは、香川県にある高松丸亀町商店街だ。

 ここは、商店街の土地の所有と、店舗の使用を切り離したことで有名である。店舗をどんどん入れ替え、商店街全体をショッピングセンターのように見立てた。

 私が2年前に訪れた際、平日なのに人通りが多かった。通りを歩くだけでは見えないが、再開発されたビルのテナントの上には、マンションがある。

  住民が住んでいることが最大の特徴だ。高松丸亀町商店街振興組合理事長の古川康造氏は、「客を取り戻すのではありません。居住者を取り戻すのです」。それこそが、丸亀町の流儀だ。

 力を入れているのは、医療の充実だ。「年をとれば丸亀町に住みたいねといってもらいたい。高齢者のパラダイスにしたいのです。私たちが安心して老後を暮らすために町を再生したいのです」

 すでに、商店街の中央の再開発ビルの4階と5階に診療所がある。自治会が運営する異例の取り組みだ。内科、眼科、整形外科、婦人科などのほか、リハビリセンターも備えている。いわば「まちのかかりつけ医」だといえる。このビルの6階以上はマンションだ。古川氏はその住人を入院患者のように見立てる。

 「医師は24時間いつでも対応してくれます。医師にとっても、メリットがあります。往診や回診しやすい。マンションを回ればいいからです。自宅は世界最高の特別室なのです」

 もう一つ力を入れているのは、「食」である。地元の食材を中心に販売する店を開業した。運営するのは、商店街の地権者らがつくった会社だ。

 「医・食・住」をテーマに掲げたまちづくりだ。ショッピングセンター依存とは、真逆のやり方といえるだろう。地域でお金が回る仕組みをつくり上げようとしている。

 再開発計画の結果、歩行者通行量や売上高は3倍になった。さらに、建物の固定資産税は、再開発前の実に9倍だという。

 ポストコロナのまちづくりをどうすべきか。そのヒントがこの商店街には詰まっている。東京資本のショッピングセンターや、外国人観光客ばかりに依存するのは、リスクが大きいのではないか。地域でお金を回す。その実践と気概がいま、地域に求められている。

(ジャーナリスト 出町 譲) 

 

(KyodoWeekly7月20日号から転載)

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