第2波に備え職場対策の充実を 新型コロナで濱田東京医大教授

 (株)共同通信社きさらぎ会と神奈川政経懇話会共催の特別講演会で、東京医科大学の濱田篤郎教授が「職場における感染症対策~新型コロナを中心に」と題して講演。日本での新型コロナウイルス禍の今後について、「10月ごろから本格的な流行が起こる可能性がある」と述べ、流行第2波に備え職場対策を充実しておくことの重要性を強調した。(6月11日インターネットを通じて行われた講演の抄録。編集部)

 

 新型コロナウイルスが最初に明らかになったのは、2019年の大みそかのことだ。中国保健当局からWHO(世界保健機関)に報告が入り、その年の12月上旬から湖北省武漢市の海鮮市場の利用者を中心に、原因不明の肺炎患者が多発しているというものだった。

 その9日後、中国CDC(疾病対策センター)が原因を特定。それが新型コロナウイルスだった。02年から03年にSARS(重症急性呼吸器症候群、サーズ)という病気が中国を中心にはやった。そのサーズウイルスに似ているコロナウイルスが、再び中国から流行が始まったというので、私共感染症に従事している人間は、大変なことになるのではないかと考えた。

 日本では2月中旬ごろから、中国から来られた方を中心に集団感染(クラスター)が見られるようになってきた。この流行は一応抑えられたが、3月に入ってから再び増え始めた。これは欧米からの渡航者が持ち込んだのではないかと見られている。4月上旬がピークで、その後は落ち着いている。4月7日、政府が緊急事態宣言を発し、その効果があったと考えられている。5月25日に緊急事態宣言は全面的に解除。6月中旬時点で感染者数は1万8千人、亡くなった方が900人と、欧米に比べると少ない数だが、それなりの被害が日本でも起きた。

 流行が始まった当初、こんなに世界的な流行になると思わなかったのは、想定外の特徴が三つあったからだ。当初、感染力は1人の患者から2、3人と見られていた。インフルエンザとほとんど同じ。想定外だったのは、新型コロナは、症状が出る2日前から感染性を持つということだ。健康な方がスポーツクラブやカラオケで、周囲にウイルスをまく可能性がある。これはインフルエンザより感染力は強いと考えた方がよい。

 もう一つの想定外は病原性。新型コロナの致死率は2、3%と考えられている。インフルエンザは0・05%以下といわれているので、40倍の致死率がある。当初から怖い病気だと分かっていたが、さらに病原性が高いということが分かってきた。高齢者や慢性の病気を持っている方は、さらに致死率が上がる。医療崩壊が起こるということも分かってきた。イタリア、スペインでは一気に感染者が増えたので、病院が満杯になって治療ができなくなった。そうすると致死率は10%以上になる。

 さらに、もう一つの想定外は、ウイルスの拡大するスピードが、予想以上に速かったということだ。そのため検査が追い付かなくなった。PCR検査が一番確かな方法だが、検査を行う医療従事者などが感染する危険が伴い、そんなに簡単にできる検査ではない。治療薬もない。既に使われている薬を、新型コロナに使ってみるという対応がとられてきた。ワクチンもない。新しい病原体が出た場合、ワクチン製造には何十年とかかる。

 今、RNAワクチンという新しい製造法が使われ始めているが、それでも完成までには1年以上かかる。ということで、いろいろな想定外が新型コロナウイルスにはあり、今の状況があるということだ。

 

第1波より大きい可能性

 

 WHOが最近示した世界の感染状況(5月31日~6月6日)によると、ロシア、ブラジル、インドなどの新興国は今がピーク。そして、南半球の国々で今、流行がかなり広がっている。冬だからだ。一般的には冬場に流行が加速する。東南アジアでは今、流行はあまりないが、雨期に入ると、屋内にこもることが多いので飛沫(ひまつ)感染が増え、流行が拡大するのではないか。

 そして、北半球は10月以降、再び冬を迎える。そこでまた第2波といわれる流行が起こるのではないか。そして、最終的な終息は世界的にワクチンが行き渡って接種が完了した後、早くても来年の中ごろまでは、なかなかしないのではないかと考えられる。

 日本では、10月ぐらいから第2波といわれる本格的な流行が起こる可能性がある。これは第1波より大きくなる可能性がある。なぜか。日本では第1波で感染した人がそんな多くなかった。最近の抗体検査でも人口の1%以下しか感染していない。ということは、まだ、かかり得る人が日本にはたくさんいると考えられるからだ。そうしたときに再び緊急事態宣言や渡航制限が出される可能性がある。それまでにいろいろな準備をしておかなければいけない。

 具体的には第2波が起こるまでに、従業員の感染予防教育をぜひやっていただきたい。手洗いやマスク着用、3密を避ける。発病の2日前からウイルスを出すので、他人にうつさないためのマスク着用はぜひ必要だ。職場全体の感染予防対策として、アルコールや漂白剤を使った消毒、換気することも大事。ソーシャルディスタンシングをとること、時差通勤や在宅勤務なども当てはまると思う。

 人類は歴史上、何度も感染症の流行に見舞われてきた。14世紀のペストでは世界人口の3分の1が亡くなった。スペインインフルエンザは4千万人が亡くなる大流行だった。

 今回の新型コロナは、もっとインパクトが大きい。今まで人に感染したことのないウイルスが瞬く間に全世界に拡大。こうした事態を人類はおそらく1千年、2千年の間に経験したことがない。だが、ワクチンができて集団免疫がつけば間もなく収まる。それまでの間、ぜひ、職場対策を充実させてこの難局を乗り切っていただきたい。

濱田篤郎氏(はまだ・あつお)

東京医科大学病院渡航者医療センター部長を兼任。東京慈恵会医科大卒業後、米国Case Western Reserve大学に留学し熱帯感染症、渡航医学を修得。1955年生まれ、東京都出身

 

(KyodoWeekly7月13日号から転載)

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