「落語の森」食べ物あれこれ(カ行)

 鉾(まぼこ)による騒動は「鮫(さめ)講釈」、昔の講釈が大好きだった立川談志師が気持ちよさそうに演(や)っていた! 師ご存命の頃の立川流では、二つ目昇進基準が「古典50席・歌舞音曲・講談」。この噺(はなし)、鮫に魅入られた船中の講談師がこの世の名残とばかりに張扇(はりおうぎ)をパンパンとたたいて次から次へと読んでいくシーンが見もの。

 「鮫講釈」から得意ネタ「懐かしのスーパーヒーロー」を続けて演るのは、立川談之助師。談志師の高座に触発され芸能の道に進んだのが今春、真打昇進し、神田派の大名跡を継いだ松之丞改め六代目伯山先生。元々釈ダネのこの噺を笑いも交えた楽しめる一席に仕上げた。「兵庫船」「桑名船」の別題もあってややこしい。

 飯炊きの権助が「墨田川で釣ってきただ」と蒲鉾・目刺しを旦那のアリバイ工作に使うのが「権助魚」。演り手は多いが春風亭昇太師の演じる権助がハイテンションでおかしい。

 気の毒な乾物屋からつお節・の子が持ち去られるのが「寄合酒」。町内の若い者が「銭は、ねェが酒は飲みてェ」と肴(さかな)をそれぞれが調達してくる。詐欺まがいに数の子を、店の子どもをだましてかつお節を、と被害の多くを乾物屋が被(こうむ)る。笑いどころが多く、切りやすいので東西の寄席で重宝がられる前座噺。飄々(ひょうひょう)とした口調の先々代(九代目)桂文治師、上方では先代(三代目)桂春団治師の緻密(ちみつ)な高座が目に浮かぶ。

 びだんごといえば「桃太郎」、あのポピュラーな昔話の矛盾を子どもが指摘する噺。先代(四代目)柳亭痴楽師が楽しかった。

 今春、紫綬褒章受章の春風亭小朝師が秀逸。桂文枝師(当時三枝)も1980年代の人気番組「花王名人劇場」で演ったが面白かった! 師は300席目の創作落語を今年3月4日、無観客の高座で披露した。演り手の多い「桃太郎」、筆者も最近演るが、生意気な子どもをいかに嫌味なく可愛らしく演じるか、が演者の腕だ。

 「後生鰻」には焼(ばやき)が登場。信心深いご隠居さんがウナギ屋の店先で、今まさに割(さ)かれようとするウナギを「かわいそう」と買い取って川にぼちゃ~ん! 味をしめたウナギ屋、ご隠居が通る度にわざと割くまねをして、高値で売りつける。 しかし、ある日とうとうウナギも底をつき、しょうがなく赤ん坊を割き台に…。古今亭志ん生師が良かった! 桂歌丸師は「赤ん坊では残酷」とウナギ屋のおかみさんを割き台に乗せた。

 椒(しょう)もいくつかの噺に出てくる。名人三遊亭圓生師は「胡椒のくやみ」を時間のない時に「くやみ」の演題で短く演っていた。

 今だと、柳家三三師・柳家三語楼師などが演る。「くしゃみ講釈」は気に入らない講釈師に胡椒の代用で唐辛子をいぶしてかがせ、高座をメチャクチャにする噺。柳家権太楼師の独壇場か。上方だと「くっしゃみ講釈」と題が変わり、桂枝雀師がにぎやかに聴かせてくれた。

紫紺亭 圓夢(しこんてい・えんむ)

 

(KyodoWeekly6月22日号から転載)

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