支援を正しく導くために

クラウドファンディングを呼び掛けるチラシ(筆者撮影)

 自宅近くの餃子(ぎょうざ)料理店の割引条件は、LINEの友だち追加であったため、応じた結果、定期的に新メニューなどのメッセージが送付されるようになった。3月上旬からは、窓や扉の開放写真や、テークアウトの拡充アピールなどが続いた。ほどなく料金の大幅な割引が送られるようになり、4月初旬には、5月の連休までの休業案内が通知された。

 その後しばらくメッセージが途絶えた後、4月下旬にスタッフの雇用や農家を守る目的のクラウドファンディング(以下「CF」)の組成と支援要請が送られた。再開時に使用可能な食事券を交付する購入型のCFで、プレミアム金額が券面に上乗せされるとのことだ。

 当初の休業期限としていた5月の連休明けには、月末までの休業延長が再通知された。翌日には、CFの目標額の150万円を募集開始から3日で集められたこと、よって目標額を400万円に増額することが案内された。

 直接知る事象はこの1件だけだが、全国の飲食店などで、同様の動きがみられる模様だ。老舗の廃業などが報じられる中で、足が遠のいたなじみの店舗から支援を請われれば、心が動かされることだろう。また、クレジットカードによって少額から応諾できる手軽さなどが、支援の動機となることもあろう。

 店舗側にとっては、支援後の顧客の関心の高止まりだけでなく、黙っていても食事券を使用するための来店が見込めるため、集客負担を軽減させられる。休業後を含め、SNSを通じた支援要請が随時簡単に実施できることも魅力的だろう。

 5月中旬に訪れたJR中野駅付近では、区内の飲食店を支援するCFが掲示されていた。中野区観光協会が事務局なことからも、この手法に既に相応の認知度・浸透度が認められることを逆説的に証明している。

 矢野経済研究所が2018年に調査・推計したCFの市場規模は約2044億円に達し、その4年前の10倍弱に成長している。今般のコロナ禍は、結果として規模をさらに拡大させ、店舗にとって新たな資金の調達手段を得た形となったことだろう。

 個人にとっては最も身近なリスクマネーとなろうが、募金・給付感覚で応じている向きも多いだろう。その一方で、店舗側の余裕のなさが、支援者に対する甘えとなって市場の成長を阻害させかねないことを懸念する。

 残念ながら、追い込まれた人は正常な判断力を失い、つきたくないうそをつくようにもなる。CFを含め、コロナ後の社会の再生には健全な金融市場の成長が避けられない。それゆえに、苦しい現状下にあっても、正確・迅速な情報開示のための基準の設定や運用を希望したい。

(信金中央金庫 信用金庫部 上席審議役 佐々木 城夛)

 

(KyodoWeekly6月15日号から転載)

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