「本の森」世界5大宗教入門

山中俊之著●312ページ●ダイヤモンド社(税別1600円)

 

行動の基底となる価値観

 

 1.宗教偏差値の低い国・日本

 宗教というと、葬式・法事などの儀式くらいにとらえるか、「古くさいもの」「何か怪しいもの」として敬遠する日本人が多いのではないか。宗教について無知であると、海外で食事の際に相手を困惑させたり、NG発言をしたりすることになるだけではない。そもそも、その国の社会や人の成り立ちがわからない。なぜなら、宗教は、その社会や人々の行動の基底となる価値観を作っているものであるからだ。

 もし「世界宗教偏差値」があるとしたら、日本は間違いなく世界最低レベルであろう。地理的に世界的な宗教の発祥地から遠いことや、古来以来のやおよろずの神への信仰が世界の宗教に対する理解を阻んだといえる。

 2.実はアメリカは世界有数の宗教国家

 多くの日本人が「現代的でカジュアル」というイメージを抱くアメリカは、英国から渡ってきたピューリタン(清教徒)といわれる敬虔(けいけん)なキリスト教徒によって建国された(先住民族がいるので建国という言い方は本来は不正確であるが)。食事の際にお祈りをする人の割合は、ヨーロッパよりも断然高い。実は世界でもトップレベルの宗教国家である。

 3.英語力にも影響する

 「語学を学ぶにはその国の文化を学べ」といわれるが、国際語として使われている英語はキリスト教由来の言葉やフレーズが非常に多いことはよく知られている。

 例えば、exodusという単語は、脱出と訳されるが、同時に旧約聖書で有名なモーゼの「出エジプト」の意味もある。この点を知らないと英語での会話についていけない。英字新聞にも聖書由来の表現は多数登場する。日本人の英語がなかなか上達しないのは、キリスト教への理解が不足していることもあることは間違いない。

 4.最先端テクノロジーも宗教の影響を受ける

 人工知能(AI)からゲノム編集、安楽死まで最先端の科学技術の開発には「人間とは何か?」という問いがついて回る以上、これも宗教観によって変わってくる。例えば、「全知全能の神が人をつくった」という大前提が刷り込まれているキリスト教徒やイスラム教徒にとって、神でもない人間が人のかたちのロボットを作ることには抵抗を感じる人もいる。

 鉄腕アトムからペッパーまで、日本人が「かわいい」というシンプルな理由で人型ロボットをすんなりと作り出せたのは、人と神(仏)の距離が近い日本的宗教観が背景にあるからだともいえるのだ。

 世界の5大宗教といわれるユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教についてはその教義の概略とNG発言などを、ぜひとも頭に入れておきたい。

(グローバルダイナミクス 代表取締役 山中 俊之)

 

(KyodoWeekly6月8日号から転載)

全国選抜小学生プログラミング大会
新型コロナ特集
スポーツ歴史の検証
スポーツ歴史の検証

K.K. Kyodo News Facebookページ

ニュース解説特集や映像レポート、エンタメ情報、各種イベント案内や開催報告などがご覧いただけます。

矢野経済研究所
ふるさと発見 新聞社の本
DRIVE & LOVE
11月11日はいただきますの日
野球知識検定
キャッチボールクラシック
このページのトップへ