「口福の源~食料」食品ロス削減の動きが加速

 食品ロスとは食品廃棄物の中で、まだ食べられる状態であるにもかかわらず廃棄される食品を指す。

 農林水産省・環境省の推計では、2016年度の国内食品廃棄物等は2759万トンで、そのうち食品ロスは643万トン。国民全員が茶わん1杯(約136グラム)のごはんを毎日捨てている計算で、東京都民(約1400万人)の年間摂取食事量に匹敵する膨大な量となっている。

 食品ロスが発生する原因は多いが、国内では消費者の鮮度志向、安全志向が根本にあり、これに対応するためのメーカーや小売り、飲食店における他国よりも厳しい品質管理や過剰サービスが合わさった結果といえる。

 恵方巻きなどの季節商品が大量に廃棄されるニュースなどにより、社会的関心も高まっている。19年10月には食品ロス削減推進法が施行され、国・自治体を中心に食品ロス削減に向けた取り組みが加速し、食品関連企業による食品ロス削減の機運も高まっている。

 フードサプライチェーンには「3分の1ルール」という商習慣がある。

 食品製造日から賞味期限までの日数から、その3分の1までを小売りへの納品期限、次の3分の1を消費者への販売期限とするものだが、その緩和が大手を含めて始まっている。

 食品スーパーに比べ対応が遅れていたコンビニも、販売期限間近の商品にポイントを付ける実証実験や、季節商材の予約販売を始めている。

 食品メーカーでも高機能な容器包装の採用や製造工程の見直しなど、賞味期限を延長するさまざまなアプローチがなされている。

 また、賞味期限表示を年月日表示から年月表示に切り替える動きや、製造段階の歩留まりを改善して食品ロスを減らす動きも見られる。

 飲食店では料理の提供方法やメニューの改善、消費者への「食べ切り」の呼び掛けが行われている。データを用いた仕入れや、仕込み量の予測精度の向上を図る動きもある。

 近年はビジネスとして食品ロス問題を解決しようと、スタートアップ企業や他業種の大手企業が参画する動きも目立ってきている。

 ビジネスモデルは多く、ウェブやスマホアプリを利用し、販売期限が過ぎたものや余った食材と消費者を直接結び付けるプラットフォームビジネスも見られる。技術革新により既存ビジネスや商品の延長線上で食品ロス削減に寄与する商品を提供するケースや、より直接的にロス食材を活用した商品を開発するケースもある。

 さらに、人工知能(AI)による需要予測で食品ロス削減に貢献しようとする対応が見られる。

 社会情勢や機運の高まりを背景に、食品関連業界以外でも食品ロス削減に取り組む動きが活発化しており、より本格的で具体的な取り組みが進んでいくことが見込まれる。

(矢野経済研究所 フードサイエンスユニット 主任研究員 幕田 宏明)

 

(KyodoWeekly4月27日号から転載)

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