「口福の源~食料」急成長する代替肉

豆乳でそっくりに作った目玉焼きをのせた大豆ミートのハンバーグ。最近、大豆ミートを扱うスーパーが増えている

 ここ数年、アメリカで「ミート・アナログ」が注目を集めている。食肉代替品のことで、ミート・オルタナティブ、フェイク・ミートなど、いろいろな呼び名がある。動物の細胞から培養する人工肉の研究も進んでいるが、急成長しているのは植物性原料100%の代替肉だ。

 2009年に設立した代替肉専門のビヨンド・ミート社は、ビル・ゲイツ、レオナルド・デカプリオが出資していることでも知られる。昨年5月、米ナスダック市場に新規上場し、1カ月で株価が7倍に上がったことは日本でもニュースになった。大手食肉会社も、この分野に次々と参入している。

 前回(2月10日号、「肉ブームに陰りも」)、環境保護と動物福祉の観点から欧米で菜食主義者が増えていることを書いたが、企業がメインターゲットにしているのは、健康志向から肉のかわりに食べてみようという人々だ。

 代替肉は、コレステロールが低く、カロリーと脂肪分も本物の肉より少ない。ビヨンド・ミート社の主力商品、ビヨンドバーガーはエンドウ豆、緑豆、そら豆、玄米、植物油が主材料で、味も香りも牛肉に限りなく近く、コレステロールはゼロなのがウリだ。

 ビヨンド・ミート社のライバル、インポッシブル・フーズ社は、大豆レグヘモグロビンという物質を使って肉らしいうま味と食感、色を再現し、アメリカのファストフード大手、バーガーキングが看板商品のワッパーに採用している。見た目はビヨンドバーガーの上をいくリアルさだ。

 筆者は未体験だが、肉好きのアメリカ人が納得するのだから、どれも完成度が非常に高いのだろう。おいしくて、健康によく、しかも地球と動物にやさしい。〝一石三鳥〟の食べ物として代替肉の人気はうなぎ上りだ。

 ここから筆者が連想したのが、「素食」と呼ばれる中国の精進料理である。野菜や穀物、キノコを駆使し、肉や魚とみまごう「もどき料理」に仕上げる。植物油をふんだんに使い、こってり濃厚な素食は、野菜の自然な味わいと色、形を生かす日本の精進料理とはまったくの別物だ。宗教的戒律で野菜しか食べられなくても、動物性食品の味を追い求める執念を感じる。

 日本の食品会社も開発に着手しているが、肉の消費量が増えたとはいえ、アメリカ人の半分しか食べず、豆腐や納豆など、植物性たんぱく質食品が豊富な国だから、アメリカ型の普及は難しい気がする。

 そのなかで有望株なのは「大豆ミート」だ。形状は粒、スライス、ブロックなどがあり、粒で作るハンバーグ、ブロックで作るから揚げなどは、歯ごたえは肉そのもので、肉とはまた別のおいしさが楽しめる。低脂肪、低カロリーで高たんぱく、食物繊維が豊富と栄養価が高い。日用食品として、もっとも取り入れやすい代替肉である。

(食文化研究家 畑中 三応子)

 

(KyodoWeekly3月23日号から転載)

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