3月の映画

 ★は五つ星が満点。映画製作の現場を長年取材している筆者の独断と偏見に基づき評価した。

 

こんな時こそ、家族で映画を見よう!

 新型コロナウイルス対策として、政府は、全国全ての小中学校と高校、特別支援学校に対し、3月2日から春休みまで、臨時休校するよう要請した。これに伴い、子どもたちの有効な時間の過ごし方が問題となっている。

 さて、こんな時こそ、お薦めしたいのが、自宅でのDVDやオンデマンドによる映画鑑賞だ。とはいえ、ディズニーやピクサー、そしてスタジオジブリなどのアニメーション作品を挙げれば、それだけで事は足りてしまうので面白くない。そこで今回は、実写の洋画に絞って紹介したいと思う。

 まずは古典から。チャールズ・チャップリンの至芸はサイレントであるだけに、誰が見ても一目瞭然。その面白さは今の子どもたちにも十分に伝わるはずだ。中でも、体技が抜群の「黄金狂時代」と「モダン・タイムス」がお薦めだ。また、児童文学を映画化し、後には日本でアニメ化もされた「オズの魔法使」と「子鹿物語」は不朽の名作。ぜひ見てほしい。

 さて、家族そろって安心して見られる映画といえば、スティーブン・スピルバーグ監督の諸作を抜きにしては語れない。恐怖体験ができる「激突!」や「ジョーズ」、未知のものへの好奇心を刺激する「E.T.」や「ジュラシック・パーク」、その他「シンドラーのリスト」や「リンカーン」で歴史の勉強をしてみるのもいいだろう。

 彼が製作に回った、子どもたちによるグループ冒険ものの「グーニーズ」と、現在・過去・未来を縦横に駆け巡るタイムトラベル作品の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズも、文句なく面白い。そして彼の妹のアンが脚本を書いた、体だけ大人になってしまった子どもが主人公の「ビッグ」もお薦めだ。

 もちろん、スピルバーグ関連以外でも、子どもたちのいたずら心を刺激するであろう「ホーム・アローン」や「チャーリーとチョコレート工場」、博物館や映画の勉強にもなる「ナイトミュージアム」と「ヒューゴの不思議な発明」など多士済々だ。

 また、時間がたっぷりあるので、この際「スター・ウォーズ」シリーズを全作通しで見るなどという“冒険”も可能。映画を見終わった後、その映画について家族で語り合ってみるのも、いい時間の過ごし方になるはずだ。

 

「ジュディ 虹の彼方(かなた)に」(3月6日公開)★★★

ジュディに成り切ったゼルヴィガー

 往年の名女優ジュディ・ガーランドの人生の舞台裏を、彼女が47歳で亡くなる半年前の1968年冬のロンドン公演前後の日々を中心に、過去の回想も交えながら描く。本作は、何といっても、ジュディを演じたレネー・ゼルウィガーが圧巻だ。メーキャップ、付け鼻、ダークブラウンのウィッグの力を借りたとはいえ、渾身(こんしん)の演技と見事な歌声で、晩年のジュディに成り切った。だから本作に関しては、そうしたゼルウィガーの姿を見るだけでもう十分だと思えるほどだ。事実、彼女は本作でアカデミー賞の主演女優賞を受賞した。

 さて、実際のジュディは、不眠症でアルコールと薬物に依存し、スターの座から転落した。そして「スタア誕生」で見事に復活したが、アカデミー賞を逸したショックから立ち直れず、晩年は、体が弱り、孤独で愛に飢え、住む家もなく、ハリウッドでは見向きもされなくなっていた。本作が描いたのはその頃のジュディなのだ。その点、アカデミー賞に裏切られたジュディを演じてゼルウィガーがオスカーを得たのは皮肉な感じがする。

 

「星屑の町」(6日公開)★★

のんが昭和歌謡の名曲を歌う

 細々と活動を続けている歌謡コーラスグループ山田修とハローナイツ。歌謡ショーのために、リーダーの修(小宮孝泰)の故郷である東北の田舎町を訪れた一行は、歌手を夢見る愛(のん)と出会う。やがて、愛をボーカルにしたハローナイツに奇跡が起きるが…。

 舞台の映画化故か、テンポや間の悪さが目立つ。昭和歌謡を媒介とした、ちょっといい話で、ホロリとさせる線を狙ったのだろうが、残念ながらそうはならなかった。6年ぶりの実写映画出演になったのんが、「ほんきかしら」(島倉千代子)や「恋の季節」(ピンキーとキラーズ)といった昭和歌謡の名曲を頑張って歌うところが見どころ。

 

「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」(20日公開)★★★

ひたすら女性が強いのは…

 「スーサイド・スクワッド」のジョーカーの恋人ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)が、彼と別れて独り立ち。モラルのない暴れ方で、ゴッサムシティの悪党たちから次々と恨みを買う。そんな中、ハーレイは謎のダイヤを盗んだ少女を守るため、くせ者だらけの女性たちとチームを結成し、悪の親玉ブラックマスク(ユアン・マクレガー)と全面対決することになる。

 プロデュース兼任のロビーが、サンダンス映画祭で注目された中国系のキャシー・ヤンを監督に起用。最初は、突き抜け過ぎたキャラクターや過激な描写に面食らうが、慣れてくると違和感が消え、面白く感じられるようになる。

 また、複数の人物のエピソードが入り乱れ、時間軸が行きつ戻りつするところは、タランティーノの「レザボア・ドッグス」や「パルプ・フィクション」をほうふつとさせるところもある。ポップな色使いや過激なアクションが見どころ。ひたすら女性が強いのは、今の時代を象徴しているのだろう。

(映画ライター 田中 雄二)

 

(KyodoWeekly3月23日号から転載)

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