「風のたより~地域経済」〝関係人口〟という発想

 昨年末に、2020年度から動きだす第2期地方創生戦略(第2期戦略)が閣議決定された。14年に策定された第1期戦略を引き継ぎ、一層強力に地方創生の推進を目指すとしている。

 第1期戦略では、東京圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)への人口流入を抑制し、東京と地方の流出入を均衡化することが最大の目標とされた。

 しかし、ここまで東京圏への転入超過は拡大傾向にあり、当初の目標は達成できなかった。しかも、東京への流入が増加する状況で、各地方自治体が移住促進など、人を誘致する移住促進政策に大きく予算を割いたため、結果的に地域間で人口の奪い合いの様相を呈することとなった。一定数の移住者を獲得できた少数の自治体と、流出が拡大した多くの自治体を生む結果となったのである。

 第2期戦略の新たな目標設定では、こうした現状を招いていることについて反省はなく、再び東京圏の転入超過ゼロが掲げられた。

 わが国が、大きな経済の失速など、東京圏の魅力が落ち込むようなことがない限り、第2期戦略においても、目標は未達となることが予想される。

 東京圏への人口流入抑制が難しい中、地域間で移住者の獲得競争が過熱することのないように配慮した地域戦略の策定が必要となる。

 一方、第2期戦略にも評価すべき点はある。第1期戦略には見られなかった“関係人口”という、新しい発想が盛り込まれたことである。

 関係人口とは、必ずしも定住しているわけではないものの、仕事やレジャーなどで特定の地域をたびたび訪れる人や、その地域のために積極的にかかわってくれる人を指す。

 地方では、現実的に人口流出を抑制することが難しい状況にある中、各地域にかかわる人を増やすことで、富を生み出すために必要な人材を効率よく取り込んでいく発想である。

 

ゼロサムの争い

 

 例えば、リモートワーク(在宅勤務)である。インターネットなどのインフラ整備が進んだことにより、どこにいても仕事ができる環境が整い始めた。こうしたインフラ整備のメリットを享受し、例えば地方企業が、大都市に集積する高度人材をリモートワークで活用するのである。

 ここでいう高度人材とは、戦略的なビジネスプランを策定できる人材や、国際経験が豊かなマネジャークラス、先端的なIT技術者などを指す。

 地方の中小企業がそれぞれ、こうした高度人材を囲い込むことは難しいと考えられる中、大企業で認められ始めた副業・兼業の就労先として、地方の中小企業が名乗りを上げるのである。

 移住者獲得の自治体間競争は、いわばゼロサムの争いである。東京という巨大な人口吸引力のある都市の存在を踏まえれば、その他の地方自治体にとっては、マイナスサムのゲームですらある。

 隣町から若い世代を奪うことに貴重な財源を投入するよりも、ある程度の人口減少を所与として、いかに効率よく富を生み出していくのか、ということにこだわった地方創生戦略を形作っていくことが必要となる。

(日本総合研究所 調査部 上席主任研究員 藤波 匠)

 

(KyodoWeekly2月10日号から転載)

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