日本で根付くか、 SDGs 取り組み応援するメディア

 国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」への認知度が大企業だけではなく、日本の中堅・中小企業経営者の中で急速に高まっている。社会課題に応えた事業開発や働きがいなど、SDGsが掲げる目標をビジネス戦略とする企業が増える一方、「聞いたことがあるが詳細は知らない」などの段階にある企業がまだまだ多いのが現状だ。SDGsがターゲットとする2030年まであと10年しか時間は残されていない。メディアとして何ができるか、模索と挑戦が続いている。

千葉商科大学と実施した「わが社のSDGs勉強会」。会場では質問が途切れず、企業、自治体、学生などが同じ環境で学び合った(筆者撮影)

 当社が2019年末に行った全国の中堅・中小企業経営者100人対象のアンケートによると、SDGsについて「すでに取り組んでいる」との回答は17%に達し「取り組みを検討している」(16%)含め、中堅・中小企業経営者の33%が何らかの形でSDGsの取り組みに着手していることが分かった。「全く知らない」と回答した経営者は7%にとどまった。

 環境配慮や社会貢献に積極的な企業に投融資する「ESG投資」が世界の潮流となり、メディアでSDGs関連報道が増えるにつれ、この1年でSDGsへの理解は急速に浸透しているようだ。

 ここで改めてSDGsについて紹介すると、30年をゴールに国連が定めた世界共通目標であり、社会、環境、経済の課題を解決し「2030年をこういう世界にしたい」という“未来像”が17の目標で描かれている。世界の持続可能性における「共通言語」ともいわれる。

 国連は気候変動や海洋プラスチック汚染など待ったなしの多くの課題を抱える現状と“未来像”とのギャップを埋めるため、「すべてのステークホルダー(利害関係者)」などの表現で企業、学術機関、NGO・NPOに参加を呼びかけている。

 飢餓、健康、水問題、エネルギー、災害対策など広範囲な課題が取り込まれており、17個の間口の広い構造となっている。特に欧州がSDGsや持続可能性(サスティナブル)をすべての経済活動の前提として、ビジネスやカルチャーとして醸成させているのに比較し、日本はようやく大きなトレンドとなる兆しが見えてきたところといえる。

 18年9月には国連が報道機関と協力してSDGsを推進する「SDG Media Compact(メディア・コンパクト)」を発足した。

 創設メンバーは世界のメディア31社・機関だったが、日本からは朝日新聞社、日本テレビ放送網、そして当社の3社が最初のメンバーとなった。現在はフジテレビ、TBS、ハフポスト、講談社など参画メディアも増え、各社が特色を出しながら関連報道に努めている。

 同年11月には国連のアリソン・スメイル事務次長が当社を訪問し、特に中小企業、自治体、学生らがSDGsに取り組む後押しとなる報道に期待を示した。井水治博社長は「産業界にSDGsを根付かせたい。若い人にも広めたい」と応えた。

 

特集面を展開

 

 当社は環境分野を担当する松木喬記者(編集委員)を中心に、早くからSDGs報道に力を入れてきた。 国連総会でSDGsが採択された15年9月25日付紙面で1ページを使いSDGsを特集。

 おそらく日本の新聞・テレビで初の「SDGs特集」だろう。今では多くの記者がSDGsをキーワードにさまざまな観点から記事を執筆している。

 広告特集でも始動が早かった。16年7月の別刷り特集「地球環境特集」では見出しに「SDGsを商機に」とあり、読者にSDGsがビジネスと直結することを伝えた。

 「報道によるSDGs貢献」を明確にするため昨年4月には、毎週金曜カラーページでの「SDGs面」開設という意欲的な取り組みをスタートした。 企業や自治体、学術機関などのより具体的な事例をふんだんに取り入れた構成としている。SDGメディア・コンパクトに参加したことでさまざまな方面から相談が寄せられている。

 出版局は関連書籍を発刊し、良い販売実績を出している。また新聞社・大学という枠組みで地域のSDGsを応援する試みとして、千葉商科大学と3回シリーズの勉強会を実施した。地域企業の経営者や社員、学生ら多くの参加者を得た。

 最近では、上場企業と「ステークホルダーダイアログ」と呼ばれる双方向対話型の新しいセッションを企画している。

 「日本のSDGsの現場は地方だ」ともいわれる中、今後は企業だけではなく、大学、金融機関、自治体、商工会議所などを巻き込んだ活動ができないか、粘り強く挑戦を続けたい。

[筆者]

日刊工業新聞社

総合企画部クロスメディア企画グループ

篠瀬 祥子(しのせ・さちこ)

 

(KyodoWeekly2月10日号から転載)

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