サバ缶ブームをどう考えるか

 昨年12月に発表された貿易統計に興味深いデータがあった。それはサバ缶の輸入量が全国、関西ともに過去最高だったというものだ。調べてみると、確かに2019年1月から10月分の全国のサバ缶の輸入量は4万5183トン(前年同期の2・5倍)、関西は9837トン(同2・3倍)で、いずれも過去最高を更新していた。

 この輸入量増加の要因としてはさまざまなことが挙げられるが、近年のサバ缶ブームによる需要増加がまず考えられるだろう。これまで、サバ缶といえば、酒のさかなとして、男性に人気の商品であった。

 しかし、ここ数年、テレビなどでサバに含まれる栄養素が美容やダイエットに効果があると紹介されたことに加え、このごろの健康志向の高まりと合わさって、女性や高齢者を中心にサバ缶の需要が増えたと聞く。 また、サバ缶はそのまま食べることはもちろんだが、和洋中、いずれの料理へのアレンジもでき、手間もさほどかからず調理できるため、「時短料理」の食材として、働き世代にとっては、非常に重宝されている。

 ただ、こうしたサバ缶ブームを受けて、懸念されているのは、サバ缶自体の価格の上昇である。旺盛な需要を受け、原料であるサバの価格が高騰し、国内の主要なサバ缶メーカーが相次いで値上げを行っている。もし、今後も値上がりが続くようであれば、今までのようなお手頃な商品とは言えなくなるかもしれない。おそらく、こうした価格の上昇も(国内より安価な)サバ缶の輸入増加に影響しているのであろう。

 このようにみれば、サバ缶の輸入量増加は、メディアに端を発したブームによる需要増と、それに伴うサバ缶価格の上昇が大きく影響していると思うが、筆者はさらに別の要因からも輸入量が増加しているのではないかと考える。

 それは、災害時の非常食としての需要である。近年、巨大地震や大型台風の発生頻度が増加していることから、人々の災害に対する危機意識が日に日に増しているようにみえる。

 関西は、2018年6月は大阪北部地震、9月には台風21号による自然災害が立て続けに起こり、大きな被害をもたらしたことも記憶に新しい。筆者もこの二つの災害を経験したが、日ごろから非常食の蓄えをしていなかったため、備えの甘さを痛感したのを覚えている。

 このような点から、サバ缶も含めた缶詰類は、長期間にわたって保存ができるため、災害時の非常食として注目されている。特に災害時には栄養が偏ったり、不足したりするリスクがある。こうしたリスクを考えれば、サバ缶は前述の通り、栄養価に優れており、災害時に不足しがちなたんぱく質やビタミンを補うのに適している。

 特に関西においては、今後南海トラフ地震が発生するリスクが高まっている中、需要が増加する傾向にあると考える。もちろん、ダイエットや健康重視でサバ缶を食するのもいいかもしれない。しかし、今後のことも鑑みれば、大災害のリスクが高まる昨今、少しでもいざという時に備えていくことが大事なのではないだろうか。

 「今」よりも、「先」のことを考えて行動することが、このブームを考える上で重要だと筆者はそう考える。

(アジア太平洋研究所 野村 亮輔)

 

(KyodoWeekly2月3日号から転載)

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