「落語の森」動物・生き物も活躍!

 新年なので、まずはおめでたく「つる」。上方ネタらしいが、前座さんから真打ちまで東京でも多くの演者が演(や)るおなじみの噺(はなし)。前座噺の「牛ほめ」は、誰が演ってもウケる! ウケないように演る方が難しい。「がまの油」、先代(三代目)三遊亭金馬師と先々代(三代目)うたい調子の春風亭柳好師がこの噺で売った。先代(八代目)林家正蔵師もコワイ顔でほほ笑みながら聴かせてくれた。酔っぱらった油売りの口上がしどろもどろになっていく過程が見もの。

 「馬大家」をよく演っていたのが先代(二代目)柳家さん助師、ずっとチョンマゲを結って高座を務めていた。「鷺(さぎ)とり」は上方の噺、桂枝雀師が面白かった! 東京でも何人かが演る。にぎやかな「ふぐ鍋」を演っていたのが東京で上方落語を広めた先代(二代目)桂小南師。2019年の「NHK新人落語大賞」の優勝者は、この噺を演った上方の桂華紋(かもん)さん。先代(五代目)桂文枝師の孫弟子、入門9年、よくまとまっていた。

 新作だと柳家喬太郎師の自作「母恋いくらげ」がいい! お客から「お題」をもらっての「三題噺」だというが、タコやイカの泳ぐ姿が笑えるし、残るものがある。この喬太郎師「仏馬(ほとけうま)」という噺を掘り起こして演ってもいる。三遊亭白鳥師作の「任侠流山動物園」は、白鳥師の他に春風亭一之輔師や柳家三三師といった古典派の噺家さんが演っている。上方落語協会の前会長桂文枝師に「鯛」という噺がある。笑えて、ホロリとする師の世界。「会長時代にやり残したことが一つ、『真打ち制度の復活』」だという。現在、上方にその制度は、ない。

 ちょっと怖いのが「猫忠(ただ)」「猫定(さだ)」。「猫忠」は、芝居の「義経千本桜」をもじった噺で三遊亭圓生師は芝居がかりで演った。古今亭志ん輔師・柳亭市馬師らが演る。「猫定」も圓生師が演った怪談噺、現在は柳家さん喬師・五街道雲助師が聴かせてくれる。

 狐が活躍するのが「王子の狐」「安兵衛狐」。今も卵焼きで有名な扇屋が舞台の「王子の狐」。人間が狐をだますというドタバタが楽しいこの噺、先代(十代目)金原亭馬生師が良かった。「安兵衛狐」を先代桂文枝師は、「天神山」という題で、実際に口に筆をくわえて、障子に「恋しくば 尋ねきてみよ南なる 天神山の森の中まで」と書いてみせた。東京では、馬生師の孫弟子・隅田川馬石師らが演る。上方でおなじみの「七度狐」は笑福亭仁鶴師・桂文珍師ら演り手は多い、桂小南師も東京でよく演っていた。

 犬だと「おおどこの犬」、上方の題は「鴻池(こうのいけ)の犬」。猫では「猫の皿」が楽しい、本来は「猫の茶碗」だったのを古今亭志ん生師が「皿」に変えたという。

 今年の小噺を一つ。「ネズミつかまえた! このざるン中、大きいぞ」「そうかァ? 小せェよ!」「大きいよ! 小せェよ!」わァわァ言ってるてェと、中でネズミが「チュウ(中)」。

紫紺亭 圓夢(しこんてい・えんむ)

 

(KyodoWeekly1月20日号から転載)

新型コロナ特集
スポーツ歴史の検証
スポーツ歴史の検証

K.K. Kyodo News Facebookページ

ニュース解説特集や映像レポート、エンタメ情報、各種イベント案内や開催報告などがご覧いただけます。

矢野経済研究所
ふるさと発見 新聞社の本
DRIVE & LOVE
11月11日はいただきますの日
野球知識検定
キャッチボールクラシック
このページのトップへ