「言の葉の森」2019年の新語を振り返る

 「2019年の新語・流行語」と聞いて、頭に浮かぶものはありますか。新しい年のはじめに、昨年話題になった言葉を振り返っておきましょう。

 昨年12月上旬、三省堂主催の「辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2019』」の選考発表会に参加しました。大賞は「―ペイ」。この年に○○ペイという名のキャッシュレス決済が広がりを見せたことを踏まえての選出でした。

 以下、2位「にわか」▽3位「あおり運転」▽4位「反社」▽5位「サブスク」▽6位「電凸(でんとつ)」▽7位「カスハラ」▽8位「垂直避難」▽9位「置き配」▽10位「ASMR」―と続きます。先行して発表された「ユーキャン新語・流行語大賞」では、ラグビー・ワールドカップで日本代表がスローガンに掲げた「ONE TEAM(ワンチーム)」が年間大賞に選ばれましたが、三省堂の場合は、今後の辞書に採録されてもおかしくないものという視点も加えられており、趣旨がやや異なります。

 校閲記者の体感としては、○○ペイ、あおり運転などは、新聞記事で取り上げる出来事やニュースにもたびたび登場しましたが、ASMRなどは原稿を読んでいてもほとんど目にしませんでした。また電凸のように、以前から存在していたものの、社会問題に関連して改めて注目されるようになったと考えられる言葉もランクインしており、全体的にバランスよく選ばれているなという印象を受けました。電凸は、毎日新聞では初出が07年と意外に古いのですが、使用例8件(東京本社版)のうち、半数が19年のものでした。

 堅いイメージを持たれることもある国語辞典の中には、若者の間やインターネット上で広まっている俗語を積極的に採用するものもあります。「今年の新語2016」で2位に入った「エモい」が、昨年9月刊行の大辞林第4版で採録されたことに驚いた方もいるでしょう。数年前から今も変わらず使われ続けている点を考えると、「エモい」の台頭により使われなくなった別の表現に思いをはせてしまいますが、言葉というものはそうして移り変わっていくのかもしれません。

 今夏には東京五輪・パラリンピックという大きなイベントがあります。日常生活の中でも、これは今年の新語だ!と感じた際に、その都度書きとめておくと、後々振り返った時に楽しめるのではないでしょうか。今年もそうした言葉の流行に置いていかれないように、アンテナを張りつつ校閲に励みたいと思います。

(毎日新聞社 校閲センター 谷井 美月)

 

(KyodoWeekly1月13日号から転載)

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