「口福の源~食料」三島村に新たな1ページ

 鹿児島県三島村、鹿児島市の南西約100キロメートルの洋上に点在する、三つの島(竹島、硫黄島、黒島)から成る人口363人(11月時点)の小さな村であり、交通手段は週4回就航している村営カーフェリーだけである。硫黄島は平家討伐を企てた僧俊寛(しゅんかん)が島流しになった島と伝えられており、太平洋戦争末期に特攻隊飛行ルートの目印となった黒島には不時着した元特攻兵との交流の歴史が残っている。

 1990(平成2)年からは竹島沖をゴールとした鹿児島県最大の外洋ヨットレース「MISHIMACUP」が開催されている。さらに94(平成6)年から交流を続けている西アフリカの打楽器「ジャンベ」の世界的な奏者ママディ・ケイタ氏から伝授されたジャンベは三島村を代表する音楽となっており、来年開催される東京五輪・パラリンピックの際にはギニアのホストタウンとして登録されている。

 三島村は「鬼界(きかい)カルデラジオパーク」として、2015(平成27)年に日本ジオパークの認定を受けており、硫黄島の仮面神「メンドン」は、昨年11月29日、秋田県のナマハゲなど10件の来訪神行事とともに「来訪神仮面・仮装の神々」としてユネスコ無形文化遺産に登録されている。このように、各分野においてさまざまなイベントが続いてきた三島村の歴史に、このたび黒島を舞台に新たな1ページが加わった。それが「みしま焼酎無垢(むく)の蔵」である。

 「焼酎みしま村」の前史は03(平成15)年にさかのぼる。プロジェクトチームでの検討の結果を踏まえ、三島村の3島の中でも最も甘みの強い黒島のサツマイモを使い、浜田酒造に製造を委託し、05(平成17)年4月に初代「焼酎みしま村」の販売が開始された。

 この焼酎は販売と同時に完売するという人気商品であったため、村では「いつか黒島で、黒島の原料と水を使って焼酎を造りたい」という思いを連ね、酒税法の規制緩和に向けた要望を重ねてきた。

 その結果、17(平成29)年度の税制改正において、「焼酎特区」が創設され、翌18(平成30)年9月に黒島の焼酎蔵施設「みしま焼酎無垢の蔵」が完成したのである。この蔵で焼酎製造を指揮している坂元巧斉氏は、高校の理科の教師から黒島の地域おこし協力隊に転身し、浜田酒造での研修などを経て、杜氏(とうじ)に就任している。

 ちなみに、本年5月に販売された初回出荷分1千本は2週間足らずで完売したということである。

 肝心の味について、利き酒師のコメントにより紹介してみたいと思う。

 それによると、はじめに、無垢の島みしまの海と山を連想させるハーブやミントの爽やかな香りを感じる。口に含むと、サツマイモを蒸した時のふんわりとした柔らかい香りとこうじ由来の香りがあらわれる。のみ込もうとすると、ベニオトメ(原料芋)特有の小豆のような香りから、綿菓子のような甘香ばしい香り、ほのかにイチゴやサクランボを思わせるフローラルな甘い香りへと変化するという。 この焼酎を完璧に味わうためには、球形の氷のロックだそうである。ぜひお試しを。

(日本離島センター 専務理事 小島 愛之助)

 

(KyodoWeekly12月2日号から転載)

全国選抜小学生プログラミング大会
新型コロナ特集
スポーツ歴史の検証
スポーツ歴史の検証

K.K. Kyodo News Facebookページ

ニュース解説特集や映像レポート、エンタメ情報、各種イベント案内や開催報告などがご覧いただけます。

矢野経済研究所
ふるさと発見 新聞社の本
DRIVE & LOVE
11月11日はいただきますの日
野球知識検定
キャッチボールクラシック
このページのトップへ