「陸海空の現場~農林水産」伸ばしたい農薬ドローン散布

 人手不足が深刻な農業現場で、ドローンの活用に期待が集まっている。政府も農薬散布や農産物の生育調査、運搬など活用の幅を広げたい考えで、規制を緩和し普及を後押ししている。

 農薬散布は特に注目を浴びている。減農薬につながり農薬代を削減できることや、無人ヘリコプターより安価で済み、操縦の難易度が低いことがメリットである。

 センシング(計測・数値化)技術と組み合わせ、病虫害の発生状況を精密に把握する技術が開発されており、ピンポイント散布の導入が始まっている。こうした技術の活用により、効率的な防除や収量・品質の向上が期待されている。

 農林水産省によると、ドローンを利用した農薬散布面積は2016年度の684ヘクタールから、18年度には3万1020ヘクタールへと急拡大している。それでも、同年度の無人ヘリ利用は104万ヘクタールを超えており、有人ヘリ利用も4万ヘクタール以上ある。

 政府はドローンの利用を22年までに100万ヘクタールまで伸ばす目標を掲げている。そのため19年7月には国土交通省が「飛行マニュアル」を改定し、農薬散布時に操縦者以外に必要だった補助者の配置を、条件を満たせば不要にした。

 従来は操縦者の他に補助者を配置する義務があり、普及の足かせとなっていたが、飛行する農地周辺に人の立ち入らない「緩衝区域」を設置することにより、「補助者」なしでの飛行を容認した。また自動操縦による目視外飛行、夜間における飛行も可能とした。

 現在ドローン利用に適した高濃度・少量で散布できる農薬は、稲や麦などの土地利用型作物を中心に登録されているものの、野菜や果樹については利用可能な農薬数が限られている。このため高濃度・少量で散布する農薬であっても、単位面積当たりの有効成分の投下量が従来と同等であれば、変更登録申請の際に作物残留試験の追加実施を不要とする見直しが行われた。こうした取り組みにより、ドローンでの散布に適した農薬登録数の拡大を図り、19年2月末時点の646剤を、22年度末には846剤に拡大する目標を掲げている。

 多くの農業現場で課題となっている担い手不足や高齢化による労働力不足をカバーできるという点で、農業用ドローンはその活用が推進されている。

(矢野経済研究所 フードサイエンスユニット 主任研究員 中川 純一)

 

(KyodoWeekly11月18日号から転載)

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