令和時代の「所有」と「利用」

 令和という新しい時代を迎え、ライフスタイルも新しい転換点を迎えている。その一つが、「サブスクリプション(定額制)方式」だ。

 消費者は従来のモノを「所有する」ことから「利用する」ことが主流となりつつある。例えば、CDを買ったり、借りたりして音楽を聴いていたことが、YouTubeに代表されるストリーミングという方式で聴くことが可能となった。

 また、映画を見る際も、わざわざ映画館に足を運ばずとも、専用のアカウントを持っていれば、時間や場所を選ばずにスマートフォンやタブレットなどの各種端末で簡単に見ることができる。その他にも服が毎月借りられる、飲食店で食べ放題、飲み放題を受けられる、といったように、定額支払いのサブスクリプションサービスは業種にとらわれることなく多岐にわたっている。

 一見、こうしたサービスを利用するための手続きは、複雑で難しいと感じられるかもしれないが、実際やってみるとそうでもない。毎月もしくは年間に決まった定額料金をサービス提供者に支払えば、利用者はさほど煩わしい手続きなしで好きなだけ利用できる。

 さらに、料金を支払えば、その日からすぐにサービスの利用が可能となるものが多いため、利用開始までのタイムラグがほとんどないことも利点の一つであろう。筆者もいくつかこうしたサブスクリプションサービスを利用しているが、自分のライフスタイルに合わせてサービスを利用できるため、とても有意義なツールと感じている。

 

アナログ回帰も

 

 こうした便利なサービスが普及している一方で、今でもモノを購入し、所有することを世間が求めているように感じることがある。例えば、音楽ではストリーミングが世界的にも主流な試聴方法となりつつあるが、いまだにアナログディスクの売り上げは好調である。

 米レコード協会によると、アナログディスクの2019年上半期収益は約240億円(前年同期比12・9%増)、CDの収益が260億円(同0・8%増)で、このままのペースが続けば、1986年以来、初めてアナログディスクがCDの売り上げを上回る可能性が浮上している。

 日本でも、2018年のアナログディスクの売り上げは21億円(前年比0・8%増)と5年連続で増加し、18年ぶりに20億円を上回った。依然としてストリーミング再生は隆盛だが、アナログへの回帰も注目を浴びている。

 

心にゆとりを

 

 アナログディスクの売り上げ増加の背景にはいくつか要因があると考えられるが、一つにはストリーミング再生では得ることのできない、その場で演奏しているかのような臨場感を味わえるからではないだろうか。レコードに代表されるアナログ音源は、デジタル音源と比べて、温かみのある音質で、聴く人にゆとりをもたらすとの声も聞く。

 平成から令和へ時代が進み、モノを「所有する」ことから「利用する」ことへ変化した。サービスの利便性は向上し、消費者のライフスタイルもそれに合わせて変化している。その半面、それまで空き時間であったところに、音楽を聴いたり、動画を見たりして、休む暇もなくなり、心にゆとりを持てなくなってはいないだろうか。

 確かにサブスクリプション方式は便利ではあるが、重要なのはバランスだと考える。一概に全て「利用する」のではなく、時にはモノを「所有する」ことで、ゆっくりと時間を過ごすのも良いのではないだろうか。

(アジア太平洋研究所 野村 亮輔)

 

(KyodoWeekly11月11日号から転載)

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