「風のたより~地域経済」「マース」で生活の足に

 バスは「高齢者の足」だ。人口減少で利用者が減っても、いかにして公共交通機関を維持するのか。それが行政の腕の見せどころといえる。

 そんなことを考えていた矢先、石川県加賀市の取り組みを知った。その取り組みとは、次世代移動サービスで、そのため提携したのは、ソフトバンクとトヨタ自動車が出資するモネ・テクノロジーズだ。

 この会社は、需要に合わせた配車サービスを行う。こうしたサービスは、「MaaS」(マース)と呼ばれ、フィンランドなどで普及している「Mobility as a Service」の略。つまり、サービスとしての移動手段という意味だ。

 それでは、加賀市では具体的にどう応用しているのか。現在市内を走り回っている、乗り合いタクシーに通信機を取り付けることになった。

 この通信機で、「どういうルートで何時間走ったか」「どこで乗る客が多いか」など、データを入手できる。

 つまり、渋滞する道路や時間帯、事故の起こりやすい場所を分析できる。この結果、4台の乗り合いタクシーのより効率的な運行の検討に役立てていく。乗客は乗車する際、自分の住む町にある停留所まで行かなければいけないが、将来的にはドアツードアの移動も可能になるという。

 そもそも、加賀市では、かつてバス路線は11あった。しかし、「乗客が少ないから、利益が出ず、路線バスの本数が大幅に減らされる」という悪循環に陥った。路線は現在、五つしかない。

 こうした中、導入されたのは、前述の乗り合いの大型タクシーだ。ハイエース4台が市内を走り回る。距離に関係なく1回500円。バスより高いが、タクシーより安い。お年寄りに好評だが、加賀市は安住せず、さらに一歩踏み出し、モネ社と提携したというわけだ。

 加賀市はMaaSについて、将来的には都市計画にも利用できると期待している。例えば、渋滞が多い道は拡幅工事したりできる。ビッグデータに基づく情報が町の形を変える。

 

攻めの姿勢

 

 マイカーからMaaSにシフトすれば、加賀市の地域内に落ちるお金も増えるという見方もある。

 「加賀市内には自動車メーカーがありません。マイカーを購入すれば、地元の販売店ももうかるのですが、多くのお金は市外のメーカーに流れます。一方、MaaSの利用が増えれば、地元のタクシー会社がもうかります」(宮元陸市長)

 加賀市は人口6万5千人。山代、山中、片山津といった北陸有数の温泉地を持つが、その地位に安住せず、次々に手を打っている。そんな攻めの姿勢こそ、人口減少時代の地方自治体に必要になってくる。

(ジャーナリスト 出町 譲)

 

(KyodoWeekly10月28日号から転載)

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