「口福の源~食料」参入相次ぐ総菜市場

 2009年にはリーマン・ショックの影響で総菜・中食(なかしょく)市場は冷え込んだが、10年以降は盛り返している。女性の社会進出や、未婚化による単身・共働き世帯の増加から8年連続で増え、18年度の市場規模は前年度比1・9%増の8兆9793億円となった。

 店舗の立地などにより異なるが、和風総菜の売れ筋は食べ慣れた定番商品である。季節感や地域特性、地産地消といった要素が加味され、年齢や性別も考慮することで、各店舗は消費者に飽きられないメニュー作りを進めている。

 洋風や中華総菜ではラタトゥイユやブイヤベースなど調理が難しいメニューが好調で、手の込んだものを手軽に消費できる点が消費者に支持されている。さらにインスタ映えのする彩り、包装や盛り付けで付加価値を高めている。

 18年度の販売チャネル構成比は総菜専門店32・8%、コンビニエンスストア28・3%、小売・量販店15・7%、ファストフード店7・6%、給食弁当業6・9%、百貨店3・6%、生協1・5%、ドラッグストア0・4%―などだった。

 ファストフードなど構成比が高くないチャネルも売り上げを伸ばし、ドラッグストアが前年度比29・3%増、生協が4・0%増、ファストフードも3・0%増と手頃な価格を売りにするチャネルが好調で、消費者の低価格志向を反映する形となった。

 ドラッグストアは大手チェーンを中心に消費者の利便性や集客力を高めるため、取り扱いを強化している。出店数の確保とともに、高齢化社会への対応として徒歩での利便性を考慮した出店戦略を採用するなど、以前よりも小さな商圏を想定した店舗開発が強化されている。

 全国展開するコスモス薬品や北陸・中部エリアを中心に店舗展開するGenkyDrugStoresの食品事業は、売り上げの半分以上を占めるなど、重要性を高めている。

 大半のドラッグストアチェーンは総菜メーカーから仕入れるため、医療関連企業とはいえ、商品は特別に健康を気遣った内容ではなく、スーパーのものと同様である。

 市販のいなりずしやコロッケなど、手軽に食べられる商品が好調だが、スーパー化しているドラッグストアでは、インストアベーカリーが人気である。

 ドラッグチェーンのマーチャンダイジング(商品計画・商品化計画)は、スーパー、コンビニを参考にした品ぞろえや低価格を目玉にした集客方法を採用している。スーパーもこうした取り組みに対抗し、ドラッグチェーンを下回る価格設定をする店舗もあるなど、スーパー対ドラッグチェーンの価格競争が始まっている。

 女性の社会進出や単身世帯の増加に伴い、総菜市場は拡大していく認識のもとで、ドラッグストアなどさまざまな業界から参入が相次いでいる。今後もこうした異業態を交えた競争は高まっていくと考えられる。

(矢野経済研究所 フードサイエンスユニット 

上級研究員 田中 宏和)

 

(KyodoWeekly10月14日号から転載) 

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