「口福の源~食料」食品もオンライン販売で

 2018年度の食品通販市場は、ショッピングサイトや生活協同組合・自然派食品の宅配、ネットスーパー、コンビニ宅配、メーカー直販などの総計で3兆7138億円、前年度比3・3%増となったとみられる。

 カタログや電話・ファクス注文を除くウェブ(スマートフォン含む)経由の比率は年々上昇し、18年度は6割に達した。成長が著しいのはアマゾンをはじめとするショッピングサイトで、これまで最も市場構成比が高かった生協に、18年度はほぼ肩を並べた。

 通販で商品を購入するという購買行動が一般化する中、実際に商品を確かめて購入したいというニーズが底堅い食品においても、通販の利用が年々定着してきている。

 食品通販市場拡大の要因の一つに、共働き世帯の増加で利便性を求める人が増えていることがある。

 多くの働く女性にとって毎日の買い物は少なからず手間であり、子育て世帯にとってはなおさらである。仕事の合間や通勤途中にネットスーパーなどで注文を済ませ、帰途に受け取ったり、自宅に配送してもらったりしている人は多い。

 食品に対する個人ニーズの多様化も、食品通販の伸びにつながっている。

 実店舗での食品購入の傾向は購入者の生活圏内にある店舗の品ぞろえに左右されるが、好みやニーズの多様化に応えるツール(通販や電子商取引)が整備され、注文から納品までの時間短縮も進み“生活圏で完結させる”という消費マインドが“近隣に欲しいもの・必要なものがなければ通販で買う”へと変化しているということだ。

 カタログ通販のニーズは中高年層を中心に根強くあり、ウェブサイトを閲覧しながら電話で注文するというニーズも底堅い。

 サービスや商品の細かい違いがウェブでは理解できず、電話でオペレーターに確認しながら注文する方が安心であるという人の割合は高齢になるほど高いが、ウェブ経由は徐々に伸びている。パソコン経由も徐々に減り、スマートフォン経由の注文が増えているという話もよく聞かれる。

 一方、宅配現場の人手不足や物流費高騰などの「宅配クライシス」は、市場にとってはマイナス要因である。潜在的には伸び率はさらに高く推移しているとみられるが、配送料の値上がりやネットスーパーの出荷枠を増やせないことなどが、市場拡大にブレーキをかけている。

 今年10月から消費税率が10%に引き上げられるが、食品は酒類を除き8%の軽減税率が適用される。増税前の9月には酒類の大々的なセールが各サイトで開催され、通販でのまとめ買いは増えるだろう。

 外食は10%が適用されるため、内食化が進むことは食品通販市場にとってプラスだ。一方、全体的に節約志向が高まる中で消費者の財布のひもが固くなり、価格の安い食品の需要は高まるだろう。

(矢野経済研究所 フードサイエンスユニット

主任研究員 大篭 麻奈)

 

(KyodoWeekly9月2日号から転載)

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