「言の葉の森」「ロウロウ介護」を考える

「老老介護」の使用件数 ※毎日新聞東京本社版による。19年は8月15日までの件数

 「々」という字は、同じ漢字を繰り返すときに使う符号で、踊り字(重ね字、畳字<じょうじ>などともいう)の一種です。片仮名のノとマを組み合わせたような形であることから、「のま」といわれることもあります。この「々」の使い方について、毎日新聞では次のように定めています。

・漢字の繰り返し符号「々」は、同じ漢字が二つ重なった熟字に使う。

 【例】人々 国々 日々 大々的

 ただし、2字以上の熟語が重なる場合、別の言葉にわたる場合には「々」を使わない。

 【例】五分五分 一歩一歩 一人一人

    毎試合毎試合 民主主義 大学学長 旧電電公社 北北東の風

 では、ここで問題。「ろうろうかいご」は「老々介護」か「老老介護」か―。ひとまず毎日新聞のデータベースで過去の記事を検索してみたところ、老々介護が27件、老老介護が209件でした(東京本社版のみ=以下同、2019年8月15日時点)。7倍超の差で「老老」のほうが多く使われていました。

 辞書ではどうでしょうか。三省堂国語辞典7版には「ろうろうかいご」が「老老介護」で載っていました。見出し語で「々」の表記自体を用いない辞書もありますが、同辞典では「大々的」「人々」「片々」等々、「々」を用いている中での「老老」です。

 形容動詞として「非常に年老いたさま。よぼよぼ」(大辞泉)の意味で使うなら「老々」と表記されるでしょう。しかしロウロウ介護は、介護の様子が年老いているというよりは「介護の必要な人を(若い人ではなく)人が看病し世話をすること」(同、下線は筆者)なので、「老老」のほうが適当といえるのではないでしょうか。

 ちなみに毎日新聞の記事中に「老老介護」が出てくる最も古い例は1995年9月(「老々介護」では99年6月が初)。その後、ほぼ右肩上がりで増えています=グラフ参照。

 ところで、この原稿を書くためにインターネット検索をしていたところ「認認介護」ということばを見かけました。これは認知症の人が認知症の家族を介護することを表すことばなのだそう。毎日新聞の記事では6件(初出は09年5月)と使用例は多くありません。

 しかし、認知症で行方不明になった人が毎年過去最多を更新したり、政府が認知症対策をまとめたりするなど、認知症がますます深刻な社会問題となる今日、徐々に認知されていっても不思議ではないことばかもしれません。もっとも、このようなことばが生まれない社会が理想であることは言うまでもありませんが。

(毎日新聞社 校閲センター 西本 龍太朗)

 

(KyodoWeekly9月2日号から転載)

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