「本の森」令和の現場力

 

遠藤 功、山本 孝昭 著

 ●240ページ

●日本経済新聞出版社(税別1600円)

 

「現場」を取り戻す意義

 

 「遠藤さん、このテーマで二人で本を出しましょう」。2018年3月ドリーム・アーツの取締役会。共著者であるローランド・ベルガー日本法人の会長でありドリーム・アーツの社外取締役でもある遠藤功氏(良品計画やSOMPOホールディングスなどの社外取締役も兼務)との白熱した議論の末、新たな本を書くことが決まった。

 “このテーマ”とは業革=業務改革だ。これまで多くの企業とそのトップ経営層にコンサルティングしてきている遠藤氏が、「どうもこの頃“業革”という言葉をよく耳にし、議論になる。それもいろんな会社のトップから…」と。加熱する「働き方改革」の中で気付きはじめた疑問であり問題意識だ。

 今後の深刻な労働力不足に対処するため、“一人一人の働き方を改革しよう”という政府主導の一大キャンペーンは大きな盛り上がりを見せており、少なくとも問題提起とその認知という点では大成功といえる。

 ただ、雇い・雇われるスタイルが多様化しても雇用格差が解消されても、組織で取り組む業務であり仕事が変わらなければ、生み出す価値を高めることも、差別化することもできない。

 だからこそ、本書の根本的な問題意識は「壊れた現場を生き返らせる」ことなのだ。サービスや製品を企画し、計画し生み出すのは経営でも本社でもなく「現場」だ。

 日本を代表するメーカーで相次ぐ検査不正や、物流・店舗・サービスなどの現場で頻発する事故や事件。日本企業が自他ともに認めていた高い業務品質が著しく劣化し、産業全体の屋台骨が大きくグラついている。

 バブル崩壊から始まった平成の30年間は、足踏みどころか、日本の伝家の宝刀とも言える現場であり現場力を壊してしまっていた。バブル崩壊による自信喪失の中、表面的な欧米方式の導入や過度な効率主義、偏狭な数値管理、過剰な管理思考と本社の肥大化…。多くの会社で、何をどうするのか?!という“TODO”に偏り過ぎ、どう在るべきか?!どう成るべきか?!という“TOBE”を見失っていた。

 行き過ぎた効率化と短期の利益追求、人手不足、技能承継の失敗、稚拙なIT活用による未来への足かせ…。

 振り返れば、平成の時代というのは、現場を軽視し、現場を傷めつけ、現場が壊れていく30年だったと言えるだろう。令和時代の業務改革で、日本の強くしなやかで喜びにあふれる「現場」を取り戻さなければ、日本企業の復活などあり得ない。本書は「業革」という使い古されてはいるが、改革の本質を突くキーワードを軸に「人間中心」の業務改革手法を提言する。

(ドリーム・アーツ 代表取締役社長 山本 孝昭)

 

(KyodoWeekly8月12日・19日号から転載)


PR特別企画
スポーツ歴史の検証
スポーツ歴史の検証
TAFISAワールドコングレス2019

K.K. Kyodo News Facebookページ

ニュース解説特集や映像レポート、エンタメ情報、各種イベント案内や開催報告などがご覧いただけます。

矢野経済研究所
ふるさと発見 新聞社の本
DRIVE & LOVE
11月11日はいただきますの日
野球知識検定
キャッチボールクラシック
このページのトップへ