「陸海空の現場~農林水産」超省力を実現するスマート農業

 スマート農業とは最新技術と従来の農業技術を連携させることで、さらなる生産の効率化や農作物の高付加価値化を実現するものである。情報通信技術(ICT)を活用したスマート農業の推進により、新たな品種や技術の開発・普及、知的財産の総合的な活用、生産・流通システムの高度化を図り、農業にイノベーションを起こすことを目指している。

 例えばスマート農業により、収穫量増加などのための化学肥料の投入や農薬の散布は、土壌や作物の状況に応じて最適に調整することができ、大規模生産のためのトラクターなどの農業機械は、衛星利用測位システム(GPS)などを使うことで自動運転の実用化が期待されている。

 さらに、センサーなどにより得たビッグデータを解析することで、熟練生産者が行ってきた技術の再現や、病害虫の発生予測、収穫時期・収穫量の予測も可能となる。

 国内の総農家数は1990年には482万戸であったのに対し、2015年には216万戸と過去25年間で激減している。加えて、農業を主な仕事として従事している人口は145万人(18年)で、このうち65歳以上が98万7千人(68・0%)と、高齢者の割合が著しく高まっている。

 農業現場では依然として人手に頼る作業や、熟練者でなければできない作業が多く、省力化、人手の確保、負担の軽減が重要である。農産物の輸出拡大を推進していく中で、国際競争力を確保するために、より一層の農作物の品質向上や、生産コストの削減が課題となっている。

 こうした問題を解決するために政府は、新たな技術を活用するスマート農業を推進しており、農林水産省では19年度から、全国69カ所に「スマート農業実証農場」を整備して、大規模な実証試験を始めている。

 18年度のスマート農業の国内市場規模は146億8800万円であり、24年度には387億円まで拡大すると予測する。

 18年度以降のスマート農業市場では、気象予測と連携した販売支援ソリューションや、経営支援ソリューションが拡大するとみられる。20年から農機の無人運転を実現するシステムが登場するとみられることから、センサーによるセンシング技術やデータを活用した「精密農業」が拡大すると予測する。

 農業は栽培品目・地域性によって必要な技術やノウハウが大きく異なるため、それぞれの企業が持っている技術・強みを生かした連携が必要になる。今後スマート農業参入企業、農業資材メーカー、異業種が連携・協業することで、国内農業が抱えている課題を解決し、急速に拡大する世界の食市場を、日本版スマート農業によって取り込むことができるとみられる。

(矢野経済研究所フードサイエンスユニット

主任研究員 中川 純一)

 

(KyodoWeekly7月8日号から転載) 


PR特別企画
スポーツ歴史の検証
スポーツ歴史の検証

K.K. Kyodo News Facebookページ

ニュース解説特集や映像レポート、エンタメ情報、各種イベント案内や開催報告などがご覧いただけます。

矢野経済研究所
ふるさと発見 新聞社の本
DRIVE & LOVE
11月11日はいただきますの日
野球知識検定
キャッチボールクラシック
このページのトップへ