「音楽の森」勘違いウエディング・ソング

 6月、ジューンブライド。勘違いウエディング・ソングというのがある。ホイットニー・ヒューストンの「オールウェイズ・ラブ・ユー」(I will always love you)がそれだ。タイトルだけ見れば「ずっとあなたを愛し続ける」ということで、結婚式で流す曲としてはよさげに思える。しかし、歌詞をよく聴いてみると、これは別れの歌なのだ。

 「もし私がこのままいれば、あなたの邪魔になるだろう。だから私は去っていく。これからも折に触れあなたのことを思うだろうとわかっているけれど」が冒頭である。

 自らの意思で彼のもとを去っていく女性が、それにもかかわらず「これからもずっとあなたのことを愛し続けるわ」と歌うラブ・ソングなのである。

 「ほろ苦い思い出だけを持っていくわ。だからさようなら。どうか泣かないで。私があなたに必要な存在でないってことを私たちは2人ともわかっているのだから」と続く。

 ホイットニーは、彼の人生で夢がかないますようにと、喜びと幸せがあるようにと、そして何よりも愛に恵まれるようにと、祈るように歌うのだ。歌は1992年公開の初主演映画「ボディーガード」の主題歌として大ヒット、全米シングル・チャートで14週連続ナンバーワンという記録を打ち立てた。もともとはカントリー歌手のドリー・パートンがヒットさせた曲のカバーだったが、ホイットニーの歌唱で広く知られることになった。

 ホイットニーは63年に米ニュージャージー州で、父ジョン・ヒューストンと歌手の母シシーとの間に生まれた。親戚にはディオンヌ・ワーウィックがいるなど、ホイットニーは音楽的なDNAに恵まれた家庭で育つこととなった。

 幼いころに教会の聖歌隊に加わり、ゴスペルを学ぶ。そして15歳のころから、母シシーのステージでバッキング・ボーカルを務めるなど経験を積んだ。

 成功は約束されていたかのようだった。83年、オーディションでホイットニーのパフォーマンスを見たアリスタのクライヴ・デイヴィス社長は彼女を一目で、いや一聴で気に入り、彼のレコード会社に勧誘するようになったのだ。そして85年にアルバム「そよ風の贈りもの」で鮮烈なデビューを果たすこととなる。

 ホイットニーはヒット曲を連発する。「すべてをあなたに」「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」「恋のアドバイス」「やさしくエモーション」などなど。

 そんなホイットニーの最大のヒット曲が「オールウェイズ・ラブ・ユー」なのだ。新郎はこの曲を聞き、にんまりするかもしれないが、もしかしたら、もしかして花嫁は別の誰かに「永遠の愛」を告げているのではないか? 女性の心は分からないものだ。

(音楽愛好家 桑原 亘之介)

 

(KyodoWeekly6月24日号から転載)


PR特別企画
スポーツ歴史の検証
スポーツ歴史の検証
TAFISAワールドコングレス2019

K.K. Kyodo News Facebookページ

ニュース解説特集や映像レポート、エンタメ情報、各種イベント案内や開催報告などがご覧いただけます。

矢野経済研究所
ふるさと発見 新聞社の本
DRIVE & LOVE
11月11日はいただきますの日
野球知識検定
キャッチボールクラシック
このページのトップへ