ヘルステック、産官学で共創 フィリップス、仙台に交流施設

 

 医療機器大手のフィリップス・ジャパン(東京都港区、堤浩幸社長)は5月28日、仙台市内に医療、健康・予防の研究開発交流施設「フィリップス・コ・クエリエーションセンター(CCC)」を開設した。病院や大学などの研究機関、自治体や異業種の企業と連携し、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)をはじめ先端技術を活用した研究を進める。

開設式典に出席した村井嘉浩宮城県知事(左から4人目)、堤浩幸社長(左から5人目)=仙台市青葉区のCCC、5月28日

 フィリップス・ジャパンは「2030年までに30億人の生活を向上させる」とのビジョンを掲げ、健康とITを組み合わせた「ヘルステック」分野に注力。睡眠時の無呼吸時間を記録するマスクや、歯磨きの癖をチェックするセンサーを内臓した電動歯ブラシを製造するなど、情報通信技術(ICT)を利用した健康管理システムのノウハウを蓄積している。CCCを通じ多様なパートナーと「コ・クリエーション(共創)」し、技術革新を加速したいという。

 医療機器・サービスを世界展開するフィリップスがこの形の研究拠点を日本に置くのは初めて。医療費の増大や医師不足に悩む東北地方に設置したのは「目の前にある地域の課題にすぐ取り組めるから」(堤社長)という。CCCは仙台市の中心部である青葉区国分町のオフィスビルに入居し、同市周辺の研究者や専門家が集まりやすくした。オフィス部門も合わせた面積は約740平方メートル。氏家徹郎所長以下、約70人の態勢でスタートしたが、2、3年で130人程度に増やす考えだ。

 

AR、3Dプリンター

 

 CCCには拡張現実(AR)や3Dプリンターなどの最新機器を設置。AIによる診断支援や電子カルテシステムも扱うほか、心停止状態の人に電気ショックを与える自動体外式除細動器(AED)を中心に街全体が「救急チーム」となる「ハート・セーフ・シティー」の構想を進めたり、ARで病院設備の最適配置を練ったりできる研究室も置いている。手術室や病室、救急車といった空間を必要に応じてバーチャル化することで、創造的な議論が深まる環境を整えたほか、専門外の関係者が新技術を体感するスペースや、トレーニングを通じ技術を体得、向上させる場もそろえた。

 大きなホワイトボードを並べてアイデアを提示しやすくデザインし、ワークショップ型のデザインシンキングが進む部屋を設置するほか、リラックスして雑談しやすい交流スペースも確保するなど、異業種の人材が協業できる工夫もしている。

ホワイトボードを並べたデザインシンキングルーム=仙台市青葉区のCCC、5月28日

口腔ケアで成果狙う

 

 5月28日の開設式典には、フィリップスがインドのバンガロールに置いている研究拠点「イノベーション・キャンパス」から、ヘルスシステムズ部門長のラビ・ラマスワミー氏が参加し、仙台のCCCには①口の健康を図る口腔(こうくう)ケア②家庭内の患者らから遠隔地の医師らに医療データを送るなどして診療の助けにするホームモニタリング③AIの応用―などの分野で期待しており、サポートに力を入れたいと述べた。

 CCC自身も疾病を防ぐ生活習慣の研究のうち、口腔ケアの分野から成果を上げたいとしている。

 式典には村井嘉浩・宮城県知事、郡和子・仙台市長、相楽希美・東北経済産業局長、大野英男・東北大学長、安田聡・国立循環器病研究センター副院長らも出席。村井知事と郡市長は「産官学が力を合わせる取り組みが、この地で進むことに大いに期待している」と口をそろえた。

 さらに米マイクロソフトから担当者が出席し、フィリップスと共同開発した、視界に3D(立体)映像を映し出すゴーグル型端末「ホロレンズ2」を国内で初公開した。ホロレンズ2は大きく開腹しなくてすむ手術で、大きな役割を果たす可能性があるなど、医療現場の作業効率を大きく上げ、経費削減にもつながるという。

(編集部)

 

 

 (KyodoWeekly6月24日号から転載)


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