「落語の森」これって、同じ噺?!

 「時そば」「時うどん」をはじめとして、東京と大阪で同様の内容なのにタイトルが違う噺(はなし)があることはよく知られている。

 たとえば、「たらちね」「延陽伯(えんようはく)」「反対車」「いらち車」「野ざらし」「骨つり」「お化け長屋」「借家怪談」などいくらでもある。

 今回は東京の落語界で複数のタイトルを持つ噺の紹介を。まずは「一分茶番」、サゲが分かりにくいとの理由からか、ほとんどの演者が「権助芝居」で演(や)っている。芝居が好きで権助がうまかった先代(初代)金原亭馬の助師の名演が目に焼きついている。仕草がこうも似るか、と師匠そっくりだった馬好師も今年3月に亡くなった。

 「肥がめ」はズバリだと汚いし、ネタばれという理由だろう、皆さんが「家見舞」で演っている。柳家権太楼師、春風亭正朝師、柳家喬太郎師がいい。

 同様の理由で「しびん」を先代(八代目)桂文楽師は、「花瓶」でよく演った。自分の代数を「縁起がいい」と勝手に「八代目」と称していた文楽師のこと、タイトルを変えるくらい朝飯前か。この文楽師の十八番(おはこ)に「素人鰻(うなぎ)」があるが、昔は「士族の商法」で演られていたという。状況設定が違う「素人鰻」を三遊亭圓生師・古今亭志ん生師が演っているからまたややこしい。

 「一文惜しみ」は圓生師が良かった。講談が基の〝釈ダネ〟の「五貫裁き」だが、これに独自の後日談をつけて「五貫裁き」で演ったのが立川談志師、この意外な結末は想定外だった。

 先代(五代目)三遊亭圓楽師や談志師など演り手の多い「短命」を桂歌丸師は「長命」で演っていた。今も「短命」「長命」、両方の演り手がいる。

 「政談もの」をきれいに聴かせてくれたのが圓生師。そのうちの一つ「佐々木政談」を先代(三代目)三遊亭金馬師は、自分で作り変え「池田大助」で演っていた。

 「小間物屋政談」も圓生師が釈ダネにサゲをつけた噺、お弟子さんの圓楽師も受け継ぎ豪快に演っていた。柳家三三師は、講談のタイトル通り「万両婿(むこ)」で演っている。来春、真打ち昇進し、談志師がほれ込んだ伯山の名を襲名する人気絶頂の講談師・神田松之丞さんも「この噺を代表作にしたい」と意気込んでいる。六代神田伯山の誕生だ。

 「猫の災難」を古今亭志ん生師「犬の方が好き」と「犬の災難」で演ったという。鶏を食べたと罪をなすりつけられたイヌが「お前が食ったんだろう」と棒でたたかれ「クワン、クワン」と鳴くのがサゲというからバカバカしくていい、聴いてみたかった。

 泣かせ、笑わせる「妾馬(めかうま)」、某公共放送に遠慮してか、圓生師は「八五郎出世」で見事に演っていた。立川志の輔師は「新八五郎出世」で演るがこれも聴かせる。 筆者も今秋9月21日の「紫紺亭圓夢落語人生50周年記念寄席」に向け、この噺を仕込んでいる。

紫紺亭 圓夢(しこんてい・えんむ)

 

(KyodoWeekly6月17日号から転載)


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