「口福の源~食料」拡大が続く健康食品市場

 日本の食品市場の中でも数少ない成長分野が、健康食品(サプリメント)市場である。矢野経済研究所は健康食品を「錠剤、カプセル、粉末、ミニドリンク形状の健康維持・増進、美容等を目的とした食品」と定義し、2017年度の市場規模を7708億4千万円(前年度比2・1%増)、18年度(見込み)は7813億6千万円(1・4%増)と推計している。

 矢野経済研究所が健康食品市場について本格的な調査を開始した1994年度から2017年度の年平均成長率は2・9%。縮小した時期もあったが、長期トレンドでは健康志向の高まりの中で拡大を続けている。

 健康食品需要は「機能志向型」と「栄養補給型」に大別される。機能志向型は睡眠やストレスなど生活の悩みの改善や、認知や歩行機能の維持といった加齢に伴う悩みの改善など、生活の質(QOL)の維持、向上に寄与する商品・素材が挙げられ、好調に推移する傾向がみられる。

 特に、食品の体への機能を国へ届け出し、受理されることで表示できる「機能性表示食品制度」の創設とともに、科学的根拠を重視する傾向が強まる中、特定の悩みを持つ層がよく接する広告媒体で、食品の機能性を前面に打ち出す積極的なコミュニケーション戦略を採る企業や、素材や成分の研究成果を紹介する広告を展開する企業が、大きく売り上げを伸ばしている。

 

アスリート向けも伸びる

 

 一方、栄養補給型は、青汁やマルチビタミン・ミネラルを、日頃の健康維持のために補給する意識が高まっていることなどから、売上高が増えている。

 近年注目されるのは、ヨガやフィットネスなど体を動かしながら健康を維持することが美容につながる、という意識が若年層を含めた女性を中心に高まりを見せていることから、引き締まった体づくりを目指すボディーメーク関連商材が好調に推移していることである。

 運動をせずに簡単に痩せたいという願望も引き続き根強く、ブームとなる商材が誕生しては消えていく一方で、運動・トレーニングがつくる健康的なボディーラインへの関心は、会員制交流サイト(SNS)での情報拡散を中心に高まりを見せている。

 さらに、スポーツへの関心が高まる中で、スポーツ・ニュートリション(栄養摂取)に関する正しい認知の拡大、研究に基づく科学的根拠をベースに、各社が積極的な商品展開を進め、学生やアスリート層のサプリメントの利用率上昇が進んでいるほか、身体機能の向上や疲労軽減・回復を図るスポーツ愛好家向けの需要も伸びている。

 健康食品市場は主力需要層である高齢者人口の増加、若年層における健康・美容意識の向上などを背景に、今後も緩やかな拡大が続くとみられる。さらに2020年東京五輪・パラリンピックなどスポーツイベントによる市場の活発化や、訪日外国人旅行者の増加に伴うインバウンド需要の拡大に加え、日本製サプリメントの海外での売り上げ増も市場拡大を後押ししそうだ。

(矢野経済研究所 フードサイエンスユニット

主席研究員 飯塚 智之)

 

(KyodoWeekly6月3日号から転載)


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