「言の葉の森」日本語としての「令和」考

 元号が「令和」に改められ、新たな時代が始まりました。先月の発表を受けて、令和という響きに新しさや美しさを感じた人も多かったのではないでしょうか。

 なぜ新元号がそのような印象を私たちに与えるのか、三つの側面から考察してみました。

 一つ目はラ行から始まる斬新さについて。日本語にはラ行から始まることばが少なく、「広辞苑第7版」を見てみると、総ページ数3181ページのうち、ラ行は106ページしかありません。しかも漢語や外来語ばかりで、日本古来の大和言葉はほとんどないのです。

 元号としても、平成までの過去247個の中で、奈良時代の「霊亀(れいき)」、鎌倉時代の「暦仁(りゃくにん)」、南北朝時代(北朝)の「暦応(りゃくおう)」の三つしか存在せず、暦応からは700年近くラ行が採用されていませんでした。頭文字が「R」だと予想していた人はあまりいなかったでしょう。驚きや意外性が「新鮮さ」につながるのだと思います。

 二つ目はラ行のことばから受けるイメージについて。ラ行には「流麗(りゅうれい)」「恋慕(れんぼ)」「瑠璃(るり)」など、奇麗な意味や響きを持つ語が多く、それゆえ「玲子」「梨花」といったように女性の名前によく使われます。「令和」と聞いてどこか華やかな感じがするのは、その柔らかな語感から来ているのかもしれません。

 以上は聞いたときの「第一印象」ですが、最後は令和の由来を知った上での印象について。典拠となった万葉集の当該部分は、梅の花を見て歌を詠むというシーンで、梅のように一人一人が花を咲かせられる日本でありたいとの願いが令和には込められています。うららかな初春の情景を思い浮かべると、何だかより優雅に聞こえるような?

 一方、令和はどんなアクセントで発音すればいいのかということも話題になりました。文字を見ると「平和」「昭和」「令室」などと同じく、語頭の「れ」を少し低くする「平板」型のようにも思えますが、首相や官房長官が「明治」のアクセントのように「れ」を高く発音していることもあり、多くのテレビ放送などはこの「頭高」型を採用しています。

 ただ日本語にはアクセントに関する明確な決まりはなく、「明治」でも「明治時代」のように熟語が続くと「昭和時代」と同じ平板型のアクセントになります。「令和時代」でも同様でしょうし、アクセントは揺れ動いて当然なのです。

 校閲記者がことばについて考える本コラムが令和とともにスタートします。少しでも「言の葉の森」に花を咲かせることができればと思っております。よろしくお願いいたします。

(毎日新聞社 校閲センター 佐原 慶)

 

(KyodoWeekly5月13日号から転載) 


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