注目されるスマートシティー 安全・快適な生活のために

 最近、「スマート××」という言葉を多く目にするようになった。スマート工場やモビリティーなどとともに、あらためてスマートシティーに対し、注目度が上がってきている。エネルギーマネジメントとともに、IoT(モノのインターネット)などを活用し、ヒトの生活課題の解決を進める取り組みが、海外を中心に進んでいる。大きな進展が期待される国内で重要なことは、市民の安全・快適な生活の実現である。

 

 スマートシティーは、2010年ごろ、経済産業省が中心になって、再生可能エネルギー利用促進の観点からモデル都市での実証を中心に推進してきた。 スマートシティーは「スマートコミュニティー」との違いについて聞かれることがある。この違いについては識者によりさまざまな解釈が存在すると思われるが、私は次のように答えている。

 基本的に両者に違いはないが、スマートコミュニティーのスマートは「賢くエネルギーを使う」ことで、再生可能エネルギーの導入とエネルギー使用の効率化など個別分野に特化した取り組みを推進し、環境負荷が少ない暮らし方を実現しようとするものである。

 これに対し、スマートシティーとは何か。それまでの個別分野の技術などを用いることにより課題解決を試みる取り組みとは異なり、すべてヒトの生活を起点にして、そこから得られるさまざまなデータをもとに環境・エネルギー、交通、医療・健康など、複数分野をIoTなどのテクノロジーを活用して横断的に解決していこうとするものである。

 

海外で進むスマート化

 

 最近になって注目されてきたスマートシティーは、13年前後から海外を中心に進展してきた。はじめに欧米を見ると、アメリカでは、「スマートアメリカチャレンジ」と名付けたプロジェクトを推進しており、主にスマートホーム、環境、輸送、緊急サービス、ヘルスケア、省エネ、製造業を対象に関連する産業の活発化を推進している。米カリフォルニア州サンノゼとインテル社が共同で、センサーを活用し水質や騒音、大気の品質などを解析する取り組みをはじめとしてさまざまなプロジェクトが進行している。

 ヨーロッパでは、国により多少の差はあるが、おおよそ基礎的なインフラは整備されているため、老朽化した施設などの再開発が大きな課題となっている。同時にエネルギー不足、人口減少などにも直面しており、その解決のためにスマートシティーに取り組んでいるケースも多い。

 中国では、「国家智恵都市モデル都市計画展開に関する通知」(12年)を契機に、頓挫したケースもいくつかあるが、1千とも言われる、新たなまちづくりプロジェクトが進行している。特に16年ごろからアリババ、バイドゥなどの「ITプラットフォーマー」が主導してIoTとビッグデータを活用し社会実装を急速に進めており、交通、医療、上下水道などさまざまな分野の機能高度化を進めている。

 一方、国内に目を向けると、三井不動産が主導して進めている千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」、パナソニックが主導して進めている神奈川県藤沢市の「フジサワサスティナブル・スマートタウン」など、民間企業が主体になって進めているケースが有名な事例になっている。福島県会津若松市は、大手コンサルのアクセンチュアと連携し、都市経営を網羅したエネルギー、観光、医療などの領域を横断した社会基盤の構築に向けて取り組んでいる。

 こうした国内外の流れを踏まえ、国土交通省は18年8月の「スマートシティの実現に向けて『中間とりまとめ』」を発表し、その後、企業、自治体から、スマートシティーのシーズ・ニーズの募集を行い、19年春、これまで以上に規模などを拡大しモデル事業の公募を行った。

 内閣府も18年10月に有識者懇談会を開催し、今年2月に最終報告のとりまとめ、「スーパーシティ」構想の実現に向けて規制緩和の特例措置などを盛り込んだ国家戦略特区法改正案の成立に向けた取り組みを進める。

 こうした動きの中でスマートシティーの実現に向けて取り組んでいる全国の自治体などでは、「ぜひわが街でモデル事業を!」の動きが活気づいている。

 こうした流れを理解しつつ、適切に行動しようとする動きもみられる。鹿児島県薩摩川内市では、エネルギーのまちとして各種のまちづくりを進めてきたが、市内で進む土地区画整理事業に合わせてスマートなまちづくりを進めている。

 これまで次世代エネルギーを活用したまちづくりを推進してきた中心人物である薩摩川内市次世代エネルギー対策監である久保信治氏は「大切なことは、市民の困りごとやニーズに向き合い、それを解決することで安全・快適な生活の場=街にしていくことです。またそれを持続可能になるようにみんなで知恵を出し合うことです」と話している。

 

[筆者紹介]

株式会社クニエ CS事業本部 ディレクター

高橋 誠司(たかはし せいじ)

地域活性化、地方創生、産業振興を専門とするコンサルタント。共著に「地域活性化ビジネス街おこしに企業の視点を活かそう」(東洋経済新報社)などがある。

 

(KyodoWeekly5月13日号から転載)  

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