だれが情報を管理するのか

「横」連携

 

 革新的なデジタル技術を社会課題の解決につなげる、政府の成長戦略「ソサエティー5・0」の中で、ITを駆使したスマートシティーは重要である。

 幾つかの都市では既に、実証実験に取り組んでいる。昨年12月に開かれた内閣府の第3回統合イノベーション戦略推進会議でもスマートシティーの推進について、重要な政策としてあらためて位置づけられた。

 民間企業においても、都市の中で活用される一般市民への新しいサービスのニュースがあふれている。具体的には、顔認証を使ったコンビニなどの無人店舗、子どもの見守り、観光案内、健康情報など多様なサービスがある。

 今後、先ほどのサービスが展開されていくに当たって、課題としてはサービス間のデータの連携であろう。

 データを取得する際には、それぞれのサービスで取得したデータはそのままでは転用してはいけないが、個人が特定されない統計情報については「横」連携していくべきであろう。そうでなければ、サービスごとに専用のセンサーを設置しなければならないという、スマートでない状況が生まれる。

 この時に、ハード的なセキュリティーと、誰がどのような目的で情報にアクセスするかのソフト的な両面の対応が必要になる。この際、重要なことは情報管理を誰がするか、である。スマートなサービス創出には、しっかりした運営母体が必要となる。

 ただ、この運営母体はどうあるべきかの議論は進んでいない。取り扱う情報の質や量によっても異なるが、都市のさまざまな情報の管理責任が果たせるように、情報管理のリスクアセスメントが内部でできる態勢が望ましいだろう。

 人工知能(AI)・IoT(モノのインターネット)の活用は目覚ましく便利なサービスが発表されている。想像だにできないサービスが実現されている。特にカメラ画像を使うサービスとしては、無人で買い物ができるコンビニやスーパーなどが筆頭格だ。

 

配慮義務

 

 そこで、使われる個人情報で整理してみたい。カメラ画像から顔認証を使った決済のように、個人を特定して、決済手段とひもづけされるサービスだ。

 この場合、特に守らなければならない個人情報を活用しており、そのサービスを利用するにはアプリなどによって事前承諾を得る必要がある。従って、顔認証や決済情報を使ってほしくない消費者は、別のお店で購入する必要がでてくる。

 一方、誰でも出入り可能な公共的な空間でのデータ取得は、可能なのであろうか。先の事例と同様にカメラ画像の利用についても検討してみる。現在のところ、カメラ画像を利用しつつ、個人を特定しないものの、おおよその属性を推定することは、個人情報保護法や官民のガイドラインで認められている。

 しかし、カメラで撮影されることには変わらないので、カメラ画像の使われ方を告知するなど、いくつかの配慮義務が課されている。

 当研究所でも今年2~3月にグランフロント大阪で、カメラなど「複数種類」のセンサーを使ったスマートシティー実証実験を行った。

 見学希望の関係者が多いことに驚いた。ただ、現地見学よりも、人間の行動分析の鍵となる「センシングデータ」の取り扱いについて、より興味があるようだった。実証実験を重ねることで、管理態勢の具体的議論と、市民の理解の醸成が進むことを期待したい。

(元アジア太平洋研究所 総括調査役/研究員 山本 明典)

 

(KyodoWeekly4月29日・5月6日号から転載)


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