「本の森」記者ハンドブック 第13版 新聞用字用語集

一般社団法人共同通信社編 ●768ページ ●共同通信社(税別1900円)

正しい日本語で分かりやすい文章を

 

 「産業日本語」という言葉を最近、知った。「産業・技術情報を人に理解しやすく、かつ、コンピューター(機械)にも処理しやすく表現するための日本語」のことだという。

人工知能(AI)による日本語文書の効率的な処理を目的に生まれたといい、研究団体の産業日本語研究会に名を連ねるのはIT関係の理系の学者だ。AIに処理しやすい日本語と言われても、戸惑うばかり。だが、中身を聞いてみると何のことはない、人間にとっても理解しやすい文章だという。

 書籍や新聞、雑誌など書き手がプロだった活字の時代から、コンピューターとインターネットの発達で誰でも発信できる時代になり、分かりやすい文章を書く必要性は高まっている。長年、編集者や校正者など言葉のプロに使われてきた「記者ハンドブック」は、プロ以外にとっても、理解しやすい日本語を書く一助になるはずだ。

 平仮名に片仮名、漢字、そしてアルファベットを含めれば4種類の文字を使う日本語の表記は、多様である分だけ難しい。「早い」と「速い」、「固い」「堅い」「硬い」など使い分けに悩んだ経験のある人は少なくないだろう。

 「記者ハンドブック」のメインとなる「用字用語集」は、悩ましい使い分けの道しるべだ。例えば「やわらかい」。「柔」と「軟」の使い分けに加え、「食べ物は調理前の素材(肉や果実など)自体の性質は『柔』、調理の結果は『軟』だが、どちらかはっきりしない場合も多いので、平仮名書きでよい」のように説明している。

 この他①世に多様な書き方がある片仮名の外来語や外国の国名・地名・人名②「足元をすくわれる」ではなく「足をすくわれる」が正しいといった間違えやすい言葉・言い回し③避けたい差別語・不快語④「違法」「不法」「不当」の違いを説明する法令用語集―など文章を書く全ての人に役立つ内容が盛り込まれている。

 1954年の「ニュースマンズ・ハンドブック」を前身に、共同通信社と加盟新聞社向けの手引きとして「記者ハンドブック」初版が出版されたのは56年。以来、社内手引きの枠を超え、60年以上にわたり幅広く使われてきた。

 2016年出版の現行13版は、文字を大きくし、レイアウトを変更、見やすさを追求した。また、用字用語集の用例を五十音順に並べる従来のやり方を変更、語義ごとに用例を示すなど使いやすさの向上も目指した。増刷ごとに細かい手直しを加えており、5月中旬に書店に並ぶ7刷は新元号「令和」への改元にも対応している。

(共同通信校閲部長・用語委員 成川 祐一)

 

(KyodoWeekly4月29日・5月6日号から転載)


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