GAFAが問う ルールの主導権

 4月。多くの人が入学したり就職したりと、新たな門出を祝う晴れがましい季節だ。同時に多くの人がそれぞれ新しい組織の一員として、学校なら校則に、企業なら就業規則や服務規程などの順守を義務付けられる。日ごろあまり意識しないが、私たちは法律や条例、さらには住んでいる地域のごみ出しの決まりまで、そこに「所属する」構成員として多くのルールに縛られて生活している。

 グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字をとってGAFAと呼ばれる米国の巨大IT企業に対し、欧州連合(EU)など主要国がいま、さまざまなルール違反を問い詰めている。これは言い換えると、GAFAが作ったルールが契約という形で世界中のユーザーに適用され、国境を越えた規範性を持ち得るということだ。

 想像してみると面白い。米国のトランプ大統領、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領の3人がもし、ある会員制交流サイト(SNS)を使って情報発信していたとする。3人がどう虚勢を張っても、そのSNSの利用規約には等しく縛られるし、違反すればアカウントを停止されるだろう。3国それぞれの法律も大統領令も、1民間企業が作ったルールを原則、乗り越えられない。

 フェイスブックの情報発信力を逆手にとってフェイクニュースを拡散させ選挙を操作するといった政治的陰謀が可能であることは、裏を返せば、こうしたプラットフォーマーがサービスの中身を変更し、規約を修正すれば、たちまちゲームの様相は変わってしまうことを意味する。議会の承認も法的な手続きも不要だ。いまや情報の公共インフラとも言えるGAFAのルールはネット社会の秩序を一夜にして塗り替えてしまう可能性がある。

 GAFAのルール違反は、ざっくり言うと、①独占禁止法②個人情報(プライバシー)保護③フェイクニュースや著作権侵害などコンテンツの管理④課税逃れの問題―の4点での攻防が繰り広げられている。

 直近の動きをみると、まず①については欧州委員会が3月20日、グーグルに約14億9千万ユーロ(約1900億円)の制裁金支払いを命じた。2006年から16年にかけてネット広告事業でEU競争法(独占禁止法)に違反したとの判断で、3回目の違反認定となる。

 ②の個人情報では、フェイスブックがユーザーの利用履歴などから最適と思われる広告を個別配信する「ターゲティング広告」の運用を見直すと発表した。求人や住宅売買、信用貸しの3分野で、個人の属性を絞り込む機能を制限し、批判に応える狙いだ。

 ④の課税問題は、経済協力開発機構(OECD)がGAFAを念頭に置いた対策を検討中だ。法人税率に最低水準を設けて低税率国での課税逃れを防いだり、「いいね!」の数など収益源となる無形資産に課税する根拠を求めたりする案が出ているという。

 GAFAの合計売上高は70兆円を超え、すでに日本の税収(約60兆円)を上回る規模だ。GAFA課税問題への取り組みは、彼らの富を株主と関係する国々とが再配分するという、壮大なルール変更作業でもある。

(日本経済新聞社法務室 竹内 敏)

 

(KyodoWeekly4月1日号から転載) 

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