「落語の森」絆は、深まらない2

 昨年9月10日号の「絆は太くなったり強くなったりするが、深くはならない。なぜなら、絆はもともと綱だから」に続いて、今回も最近気になるあんなこと、こんな言葉を取り上げたい。

 「私、紫紺亭圓夢は、来年12月31日をもって落語活動を休止します」。こう言ったところで誰も驚かない、きっと「どうぞ、どうぞ」と言われるだけだが「日本を代表するアイドルグループ」がこれを言ってたいへんな騒ぎになった。今年1月27日(日)午後5時18分、大相撲中継を見ていた筆者はわが目を疑った。「ニュース速報」の文字の後に前述の「嵐の活動休止」が流れたからだ。これ、公共放送が「速報」として知らせるべき内容ですか! そりゃ、ファンとしては一大事でしょうけどね。

 このところ、アナウンサー、政治家らの言葉が目に余る。「私も歌わさせていただきます」「次の質問に移らさせていただきます」って、これ「私も歌わせて…」「次の質問に移らせて…」でしょ!今後もじっくり聞かさせて、いえ、聞かせていただきますよ。

 言葉にうるさかったのが、先代(十代目)桂文治師。歌丸師の前の落語芸術協会会長。色柄の着物を着ず、高座を下りても黒紋付きで通した師匠。

 「ど真ん中たァ何だ! それを言うなら、まん真ん中だ」「商人はそうは言わねェ」「武士だったら…」とだれかれかまわずにかみついたという。この師匠に有名なエピソードがある、芸能事務所から「師匠、今度の銀座のキャバレーの仕事ですがね」と電話。「へェ」「あれ、キャンセルです」「何です?」「今度のキャバレー、あれキャンセルです」。当日師匠は、雨が降る銀座の町を「キャンセルという名のキャバレー」を探し、さまよったという。

 「他人事」「一段落」を「たにんごと」「ひとだんらく」と言っているしゃべり手さんも多い、「ひとごと」「いちだんらく」だと思う。「霧氷(むひょう)」を「きりごおり」とニュースの中で読んだ人もいたっけ。「きりごおり」、おいしそう!

 さる高級料亭の女将(おかみ)、出てくる料理をいちいち説明する、そばにずっといられるだけでも煩わしい。最後の料理が出てくると、女将「これは私どもの一代目が工夫しました創作料理です!」と自慢げに言ったが、せっかくの料理が泣く。ここは「初代」と言ってほしかったなァ。蛇足ですが、筆者は二代目の圓夢。

 高校野球などアマチュアスポーツの選手宣誓で「多くの方に夢と感動を与えられるプレーを…」とよく聞く。これがプロ野球選手の言葉なら素直に入ってくるが、高校野球の選手に言われると気になる。気になりません? 筆者も高校野球ファンで正直、やたらと感動するほうだが、この言葉には感動しない。選手にはただただ無心でプレーしてほしいだけだ。

紫紺亭 圓夢(しこんてい・えんむ)

 

(KyodoWeekly3月4日号から転載) 

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