「落語の森」動物たち

 この時期、世界で一番忙しい動物はトナカイだろう。落語にも珍しくトナカイが出てくる噺(はなし)がある。立川志の輔師の新作「ディアファミリー」、もっともこれは剥製(はくせい)だが。

 落語にはいろんな動物が登場する。タヌキにキツネにウマにウシにネコにイヌにネズミにイノシシにヘビなどなど。これらの生き物を噺家さんは見事に演じてしまう。

 まずは、「狸」から。おなじみの前座噺「狸の札」「狸の鯉」「狸賽(たぬさい)」「狸の釜」と四つあり、どれも笑える。「狸の札」から「狸賽」へと続けて演(や)る場合もある。あの風貌から先代(五代目)柳家小さん師が十八番(おはこ)にしていて、色紙にも狸の絵を描いた。「他抜」と字を添えて。筆者も落研1年生の頃に師のテープで狸賽を覚え演った。「マクラは面白い」とOBに言われ、得意になっていたが「マクラは面白い」、ん?!

 「権兵衛狸(ごんべえだぬき)」は、のどかな民話のような噺。立川談志師がよく演っていた。師のお弟子さんの立川キウイ師(前座生活16年のあのキウイ師)に「圓夢さん、『権兵衛狸』演んなさいよ、合ってますよ」と言われたがまだ演っていない。

 「まめだ」はなんとも可愛らしい、しみじみとした上方の噺。桂米朝師のこの噺を聴いて泣いた。三田純市氏が師のために書いた新作。今は、当代(四代目)桂春団治師が演り、当代(九代目)林家正蔵師も。「まめだ」は「まめだぬき」から来たらしい。

 「猫の災難」は柳家小さん師から鈴々舎馬風師、柳家小三治師などに伝わっている。古今亭志ん生師は「猫より犬のほうが好き」という理由から「犬の災難」で演ったという。

 「猫と金魚」は「のらくろ」の作者田河水泡先生作でいろんな人が演る。かつては先代(十代目)桂文治師、八代目橘家圓蔵師が演り、今は古今亭志ん陽師などが。

 「猫の皿」、古今亭志ん朝師が良かった。茶店の猫が高価な「高麗の梅鉢」という皿でご飯を食べている。「うまいこと言って手に入れよう」と男があの手この手で・・・という落語らしい噺。サゲがいい!このサゲを言いたいばかりにこの噺を演っている、と言った噺家さんがいた。そのサゲに持って行くまでが難しい。

 「元犬」、信心深い白犬が人間になれたというおめでたい噺。古今亭志ん駒師の調子のいいにぎやかな高座が懐かしい。演り手は多いが日本語として成立しないサゲ、残念!

 「ねずみ」、誰もが演りたい噺。このサゲも落語らしく、ニヤっとしてしまう。その昔は先々代(三代目)桂三木助師が売り物にし、門下の入船亭扇橋師にそして扇辰師に伝わった。春風亭小朝師も演り、その師匠先代(五代目)柳朝師もこれぞ江戸前といった高座で聴かせてくれた。今年、亡くなった桂歌丸師もよく演っていた。

 今年もお世話になりました。皆さま、どうぞ良いお年を。

紫紺亭 圓夢(しこんてい・えんむ)

 

(KyodoWeekly12月24日号から転載)


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