地方都市再生をサポート 中島UR理事長、人口減に対応

 (株)共同通信社主催のきさらぎ会東京10月例会で、独立行政法人・都市再生機構(UR)理事長の中島正弘氏が「災害復興支援の現状と地方都市再生に向けたURの取り組み」と題して講演。旧日本住宅公団から都市再生のための専門家集団として生まれ変わってきた歴史を踏まえ、今後は「地方再生に向けた取り組みをどうサポートするかが課題」と述べ、人口減少時代の新たな取り組みに意欲を見せた。

 

想像を絶する環境

 

 都市再生機構の歴史だが、1955年に日本住宅公団として発足。公団住宅を大都市圏の勤労者向けに大量に供給してきたが、81年に住宅・都市整備公団に変わった。住宅数が世帯数を上回り、民間の力も付いてきた。まちづくりにシフトしていくというのが、新たな歴史となった。

 住宅・都市整備公団の次が都市基盤整備公団、そしてURになった。この間、地域振興整備公団、宅地開発公団とも統合され、今日を迎えている。以前行っていた住宅を建てるとか売るとかという仕事はやっていない。

 今回は、2011年3月11日に発生した、東日本大震災の復興支援と地方都市再生についてお話しする。

 東日本大震災は、非常に広範囲な被害をもたらした。そこから、どう立ち直るかということが大きな課題だ。URはこれまで、大規模工事、市街地のかさ上げ、公営住宅の建設などのお手伝いをしてきた。地震発生時は、緊急対策支援として応急危険度判定や、仮設住宅の建設に取り組んだ。

 次に復興計画の策定にあたって支援させてもらった。一番大変だったのは、役場も含めて被災しており、職員の人たちやその家族が亡くなっているという現状だった。そういう方々がいる中、自治体の職員たちは、被災者のケアをする一方、復興の業務も進めなくてはいけなかった。想像を絶する厳しい環境だ。

 そこで、URなど外部の支援がどうしても必要になる。東日本大震災でわれわれが復興支援した自治体は25自治体。復興市街地整備が25地区、災害公営住宅整備が86地区で5951戸、まちづくりのコーディネート業務などだ。

 

福島とは長い付き合いに

 

 まず復興市街地整備事業だが、宮城県女川町の事例で話すと、津波に備えて高台に役場、病院、学校などの重要施設は移し、あとは逃げる。住宅地は一部かさ上げして安全度を高める。生産の場である海の近くは、そのまま残すというまちづくりが基本だ。

 岩手県陸前高田市では、山を削って、ものすごい土量をベルトコンベヤーで運んだ。住民と議論し、市長さんが選択した方法だった。とにかく町の顔となる部分を早くオープンして復興を加速しようということだった。

 福島県の原子力災害に関してはまったく状況が違う。除染などの条件整備をして避難指示を解除するというのが復興に至る前提となる。避難指示は徐々に解除され人々は戻っていくが、線量が高い帰還困難区域は残る。ここは徐々にしか解除されないので、その一部に拠点を作って、そこにまず戻ってきてもらおう、あるいは新しく産業を呼ぼうというのが、この動きになる。

 全面解除にならない浪江町、双葉町、大熊町もわれわれは支援している。産業系の拠点準備を支援しているが、土地は比較的安いし、税金面などいろいろな優遇措置があるので、双葉町中野地区の産業団地の一期については、進出企業が決まった。

 次のステップとして既成市街地の復興をやらなくてはいけない。福島とは長いお付き合いになると思う。

 次に災害公営住宅の整備。宮城県塩釜市に浦戸桂島という離島がある。津波で大きな被害を受けたが、1人も亡くならなかったという奇跡の島だ。こういうところはコミュニティーがしっかりしていて、コミュニティーのまま戻すので、ほぼオーダーメードみたいな形になる。漁師さんの家には神棚が必ずある。ただ、URとしては神棚は作れないので、神棚のサイズを聞いてぴたっと収まる棚を作るなど、現場はいろいろな知恵を出してくれた。

 塩釜市の災害公営住宅でも入居前からいろんなことをやった。交流イベントで顔合わせ、そして入居後、自主的な交流ができるような趣味の会みたいな組織づくりを支援した。最後は自主組織が立ち上がり、しっかりバトンタッチを行えた。

 

コンパクトシティー

 

 東日本大震災の復興を最優先にする一方、時代的な要請で地方再生というのがある。

 地方のコンパクトシティー化に向けた取り組みをどうサポートするかが、われわれの重要な課題だと思っている。地方都市の場合は駅前とか中心市街地に空地があって、市としては何かしたいのだが、どうしていいか分からないというときに、取りあえず押さえるということは予算上、なかなか難しい。

 新潟県長岡市や静岡県沼津市とかでは、そういう土地を買って事業に向けて取り組むということをやってきた。長野県とは県として市町村の町づくりを手伝いたいというので、県と包括協定を結んだ。幅広く市町村を支援するというのはURとして初めてだった。

 そういう動きが広がってきている。国土交通省が本年度の予算で、32都市を対象にコンパクトシティーのモデル事業をやるということで、32都市とのお付き合いを始めることになった。これから地方のコンパクトシティーへの取り組みを拡充していきたい。その際はぜひURを活用していただきたい。

 

中島 正弘氏(なかじま・まさひろ)

1975年京都大学経済学部卒業後、建設省(現国土交通省)に入省。2016年7月UR理事長就任。神戸市出身、66歳。

 

(KyodoWeekly12月3日号より転載)


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