「本の森」ローカルテレビの60年

米倉律、小林義寛、小川浩一 編著

●330ページ

●森話社(税別4400円)

 

 地域のテレビ放送局の重要な報道は「災害」と「選挙」だとローカル局の幹部は話す。インタビューを受けた福島テレビ社長は2011年の東日本大震災を振り返りながら「災害報道は人命と直結しており、個人の生活の場である地域社会の破壊を食い止めるかが、メディアに対する信頼の原点、最重要の柱である」と津波の実態や被害の実情を報道する責任、使命を力説する。

 一方、東京電力福島第1原発の事故で、国や東電の対応の脆弱(ぜいじゃく)さを指摘した上で、首相官邸や経済産業省、文部科学省から相次いで発表された放射能数値を報道したことに、〝放射能恐怖症〟を地域住民に生み出してしまい「大いに反省しなければなりません」と心情を吐露する。

 選挙報道について、南日本放送(鹿児島)経営企画局長は「社会を支える民主主義に関わる重要なもの」との認識を示し、「結果だけでなく、今何が話題なのか、論点なのかを伝える努力をしている」と、基本的な制作の取り組みを話す。低投票率のときには「私たちの喚起の仕方に力が足りなかったのでないか」と次に向けて関心を高める方策を考えるという。

 また、南海放送(愛媛)では、地域に暮らす人を描くことが重要なテーマとして「食」を支える人々の仕事ぶりを描くことや、歴史上の人物を掘り起こすことに取り組んできた。地域貢献の一つとの認識だ。

 ここで取り上げたのは1957年から63年にかけて開局した12局。北海道放送から新潟放送、中国放送、沖縄テレビ放送など、社長をはじめ、報道制作局長、放送本部長などの報道に関する責任者や経営企画局長、営業本部長ら経営に携わるポストの人もインタビューしている。

 地域の報道機関として、日々のニュース、情報番組を制作する責任や苦労、喜びを率直に語っている。また、NHKのローカル放送との違いをいかに出すか、ライバル民放局との視聴率争いなど、そこで長年携わった人ならではの、生の言葉がつづってある。

 「60年たち、創業時や草創期に入社した人が現役を引退したり、定年退職したりし始めている。今のうちに当事者から地方の放送人の在り方を聴くとともに、地方ジャーナリズムの活動を記録しておく」(小川浩一氏)との問題意識から3年間かけてヒアリングを実施した。

 日本の公式なテレビ放送は53年にNHKが最初。その後、東京、大阪、名古屋といった大都市に民間放送局が次々と開局していった。これまで放送ジャーナリズム研究というと、東京のキー局や準キー局が対象になりがちであった。それを地方に根差した言論、世論の構築といったことを視点に据えた。

 放送局設立の経緯や旧郵政省、県など役所との交渉。地元企業や経済界の資本の出資。地元新聞社、ラジオ局との関わり、東京のキー局とつながり―など、放送人の証言を集めた貴重な記録史資料になっている。

(稲穂)

 

(KyodoWeekly10月22日号より転載)


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