防災省は必要か

 今年は地震、豪雨、台風による大規模災害が多発している。私たちの日常生活は、いつ、どこで起こるかもしれない災害と隣り合わせにあることを強く認識させた。さらに、南海トラフ地震や首都直下地震などの巨大災害のリスクも存在する。今年6月に土木学会が公表した被害想定は、南海トラフ地震は1410兆円、首都直下地震は778兆円に達し、これが現実となれば、日本が確実に衰退する国難災害となる。

 災害に対して、責任逃れの「想定外」という事態を繰り返してはならない。歴史上発生した大規模災害をはじめ、過去の国内外の災害から得た教訓を最大限生かし、想定力も広く働かせながら、平時の予防対策から初動対応、復旧・復興に至るまでの体制や取り組みの強化が継続的に必要である。

 こうした中、大規模災害に一元的に対応できる強力な調整力を持った体制整備が必要ということから「防災省」の設置を求める声がある。全国知事会や学識経験者からの主張だ。先月の自民党総裁選の政策論議の一つにもなった。すでに、政府では2015年3月の「政府の危機管理組織の在り方に係る関係副大臣会合」最終報告書で「統一的な危機管理対応官庁の創設等の必要性は直ちにみいだしがたい」と結論付けている。

 筆者もこの結論に基本的に賛成だ。防災対応は、組織の問題より、行政機関の総合力や連携する力が一義的に重要になる。平時から大きな組織を持つのは現実的ではないし、中央省庁レベルで屋上屋を重ねるだけだ。「災害対応はもっぱら防災省の所管」という意識が他省庁に生まれたら、それこそ本末転倒だ。

 

西日本に拠点を

 

 ただ、中央に防災省は必要ないが、防災対応の組織と機能の両面から考えて、西日本に危機管理・防災の行政拠点を置くことは必要ではないか。非常事態にあっても国家としての機能を継続するためには、国の中枢機能を喪失してはならない。

 首都圏で著しく異常かつ激甚な災害が生じ、司令塔機能を維持できない場合、西日本に代替できる拠点を整備しておく必要がある。西日本に拠点を整備しておけば、首都圏被災時の応急、復旧対応、長期間にわたる復興活動の後方支援拠点としての役割を果たせる。また、南海トラフ地震など西日本での大規模災害の現地対策本部として、迅速かつ効果的な活動が期待できる。

 さらに、東日本と西日本で同時か近接して大規模災害が生じた場合まで想定すれば、首都の緊急災害対策本部は東日本の事態に忙殺される恐れがあるので、西日本にも災害対応拠点があることの意味は大きい。

 この拠点を「西日本危機管理・防災庁(仮称)」とし、関西に設置すべきだ。拠点の長は、あらかじめ指定された国務大臣とするが、平時は近畿地方整備局長を責任者とするのも一案だ。

 まずは、南海トラフ地震など発生時の国の現地対策本部設置場所である大阪合同庁舎第4号館を拠点場所とし、国、関西広域連合、府県市、業界団体など関係機関との連絡体制構築、危機管理・防災の研修、緊急災害対策本部の設置訓練などから逐次実施し、段階的に機能を拡充することを期待したい。

(アジア太平洋研究所 主席研究員 藤原 幸則)

 

(KyodoWeekly10月15日号より転載)


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