「落語の森」絆は、深まらない!

 あの震災以後、「絆」という文字を目にする機会がグーンと増えた。気になるのは、その使い方。いわく「深まる絆」「深い絆」…、大新聞・キー局がわれもわれもと、囃(はや)し立てるように。

 「落語の森」で、いったい何を言い出すんだ、と読者のみなさんはお思いでしょうが、気になってしょうがなかった言葉や、言葉の使い方を今回は、わがままを言って書かせていただく。

 まず「絆」から。正しくは「絆を強める」「絆が太くなる」などだと高校時代に教わったのをなぜか強く覚えている。もともと「絆」は「牛馬犬などをつなぎとめる綱」なので、どうやっても「深まったり」はしないのだと。

 某首相がよく使う「結果を出す」、これがイヤでしょうがない。「絶好調!」で売った元巨人の四番が言い出した、との説がある。「結果」は良くても悪くても出る。今の使われ方は「良い結果を出す」のを「結果を出す」と言っているようだが、正しく「良い結果を出す」と言ってほしい。いやしくも一国の責任者なのだから。

 官僚言葉と言っていいのか、「考えてございます」「承知してございます」は、むしずが走る。「考えております」「承知しております」となぜ言わないんだろ!

 さて、言葉のプロであるアナウンサーの皆さんの「曲紹介」。「小林旭さんで、『熱き心に』」、いつ頃から、誰が言い出したのか。「で」は、要らないと思う。「小林旭さん、『熱き心に』」の方が耳障りがいい。ほとんどのしゃべり手さんが「で」を使っている。

 市民権を得たのか、相当のベテランしゃべり手も平気で使うのが「なので」「ま逆」。それと「圓夢さんにもう一度大きな拍手を」。「なので」は「風邪気味なので、早退を」といったような使い方を従来はしたものだが、今は「風邪気味です、なので早退を」と言っていて気になる。「ま逆」は「正反対」というきれいな日本語があるのだから、わざわざ耳障りな濁音を使わなくても!「もう一度大きな拍手を」は、催促された拍手をもらっても、うれしくない、という意味だ。拍手をさせたければ、ちょっと声を張って「圓夢さんでしたっ!」とやればいい。大概のお客さんはそれで拍手をする。

 三遊亭円楽師を呼ぶ際に「三遊亭さん」と言う方がいる、これは「円楽さん」にしてほしい。「立川さん」でなく「志の輔さん」、「林家さん」でなく「木久扇さん」と。もちろん歌舞伎の役者さんこそ「市川さん」でなく「海老蔵さん」、「松本さん」でなく「幸四郎さん」と。名前で呼ぶのは…と気になる方は、噺家(はなしか)さんは「師匠」、歌舞伎役者だったら「丈」を付ければ。筆者は「師匠」は要りません、「圓夢さん」で十分。

紫紺亭 圓夢(しこんてい・えんむ)

 

(KyodoWeekly9月10日号から転載) 


K.K. Kyodo News Facebookページ

ニュース解説特集や映像レポート、エンタメ情報、各種イベント案内や開催報告などがご覧いただけます。

第98回天皇杯 トピックス

決勝の結果(12月9日開催)

浦和レッズ   1-0   ベガルタ仙台

矢野経済研究所
ふるさと発見 新聞社の本
DRIVE & LOVE
11月11日はいただきますの日
野球知識検定
キャッチボールクラシック
このページのトップへ