8月の映画

 

 ☆は五つ星が満点。映画製作の現場を長年取材している筆者の独断と偏見に基づき評価した。

 

「インクレディブル・ファミリー」(8月1日公開)☆☆☆

ヒーローもつらいよ

 アニメーション映画「Mr.インクレディブル」の14年ぶりの続編。監督・脚本は前作同様ブラッド・バードが担当。目まぐるしく展開するアクションシーンが見ものだ。

 とはいえ、今回のテーマは、ズバリ「悪と戦うヒーロー家族にも、日常生活や悩みがある」。夫のボブではなく、妻のヘレンに“正義の仕事”が舞い込むことで、女性の社会進出、イクメン夫の苦労、仕事と子育ての両立など、今どきの、ごく一般的な問題が二重写しになり、面白さや切実味が増している。

 バード監督は「スーパーヒーローというレンズを通して、誰もが知っている家族というコンセプトを掘り下げる。またそれとは逆に、家族を通してスーパーヒーローを描く。そのどちらもが面白いと思った」と語る。

 もちろん、家族そろって見れば楽しい映画には違いないのだが、その半面、それぞれの立場で身につまされることも多いのではないだろうか。まさに「今はヒーローもつらいよ」という感じである。

 

「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」(3日公開)☆☆☆☆

クルーズのアクションに☆一つ追加!

 トム・クルーズ主演の人気スパイアクションシリーズ第6作。米秘密機関IMFのエージェント、イーサン・ハント(クルーズ)は、盗まれた三つのプルトニウムの回収に失敗。裏組織がもくろむ“同時核爆発”を阻止するため、プルトニウムの奪還に挑む。

 前半は、説明が多く、多少もたつくところもあるが、後半のアクションの加速度はすさまじいばかり。56歳のクルーズは筆者とほぼ同年代なだけに、全力疾走をする姿を見るだけでも言葉を失うのだが、今回も、宙づり、落下、オートバイアクション、ビルからビルへのジャンプ、ヘリコプターの操縦、断崖絶壁での死闘など、壮絶な体技を次々に披露する。それらがあまりにもすご過ぎて、思わず笑ってしまうほどだった。

 とはいえ、ビング・レイムス演じるルーサーのセリフではないが、「何があっても、イーサンはイーサンだ!」と言われたら、もはや返す言葉もない。思う存分、好きにやってくださいという感じだ。脱帽!

 

「オーシャンズ8」(10日公開)☆☆☆

メンバーは全て女性の“オーシャンズ”

 緻密な計画の基に、それぞれのメンバーが得意技を駆使して強盗を行う犯罪チーム、オーシャンズ。今回は、リーダーのダニー(ジョージ・クルーニー)の妹のデビー(サンドラ・ブロック)が新チームを結成し、総額1億5千万ドルの宝石を狙う。

 人気シリーズのスピンオフ的な作品で、メンバーは全て女性というところがミソ。ドイツ育ちのブロックが流ちょうなドイツ語を操りながら、貫禄十分のケイト・ブランシェット、怪優ヘレナ・ボナム・カーター、黒人、アジア系などの多彩なメンバーを率いる。ターゲットはアン・ハサウェイだ。こうした個性的なメンバーが集う、集団劇としての面白さは過去のシリーズを踏襲している。

 監督は「シービスケット」のゲイリー・ロスが担当。“女性が主役の映画”ということで、オリビア・ミルチと共同で脚本も書いている。それ故、本作では、女性の視点や考え方、興味の対象などを、如実に反映することができたと思われる。

 

「マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー」(24日公開)☆☆

ヒットミュージカルの10年ぶりの続編

 ABBA(アバ)のヒット曲をちりばめたミュージカルの10年ぶりの続編。ソフィ(アマンダ・セイフライド)が、亡き母のドナ(メリル・ストリープ)の遺志を継ぎ、ギリシャのカロカイリ島にホテルを開業する現在と、若き日のドナ(リリー・ジェームズ)と、ソフィの3人の父親候補が出会う過去を交錯させて描く。

 「シンデレラ」に主演したジェームズは、なかなかチャーミングで頑張ってはいるが、若きドナの行状は笑うに笑えないし、全体的にも雑な作りが目に付く。加えて、どう考えてもシェールがストリープの母親という設定はうなずけない。ABBAの曲も、ヒット曲は前作で使ってしまったので、地味なものが多い。

 見どころは、中盤の「恋のウォータールー」と、終盤の「ダンシング・クイーン」、そして、現在と過去のダブルキャストが一堂に会するフィナーレの歌と踊りだが、悪乗りに見えるところもある。ミュージカルに緻密なストーリーは必要ないのか…。

 

「アントマン&ワスプ」(31日公開)☆☆

伸縮自在のアクションが見どころ

 身長1・5センチのヒーロー、アントマン(アリ男)の続編。前作は特殊スーツによってミクロ化した駄目男のスコット・ラング=アントマン(ポール・ラッド)の視点を生かしたカメラワークが新鮮で面白かったが、今回は彼が大きくなったり、小さくなったりと、伸縮自在のアクションや視点が見どころになる。

 また、アントマンとワスプ(エバンジェリン・リリー)のヒーローコンビ結成の様子と、ピム博士(マイケル・ダグラス)が、ミクロ化して量子世界に消えた妻のジャネット(ミシェル・ファイファー)を見つけ出す物語が、並行して描かれる。孤独なヒーローが多いアベンジャーズの中で、家族の絆を強調するところは異色だ。

 ただ、アントマンは、先に公開された「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」には参加せず、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」以来の登場となったので、話のつながりを思い出すのに一苦労。最近のシリーズ物はこれがネックになる。

(映画ライター 田中 雄二)

 

(KyodoWeekly8月27日号から転載)


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